2015年3月11日水曜日

The Body&Thou/Released from Love/You, Whom I Have Always Hated

アメリカのスラッジメタルバンド2組による共作をまとめた編集版。
Released from LoveとYou, Whom I Have Always Hatedという2014年に発表された独立した音源をくっつけたもの。
一緒になってCD形態で発売されるのは日本のDaymare Recrdingsのみからとのこと。
両者に関してはそれぞれThe Body「I Shall Die Here」、Thouの「Heathen」と2014年に発表した音源が色々な年間ベストにランクインするなどまさにややアングラメタル界では気鋭のバンドという事になると思う。
私はThouの方はいくつか音源は持っているものの、上記2つのアルバムはまだ聴いていない。なんとなく買わなきゃなと思っているまま年もあけ、さらに3月までになってしまった。一緒に楽しめるならお得だね!とばかりにこのアルバムに飛びついたのだった。

このアルバムは両者が各々独自に録音した音源を収録した所謂スプリット形式ではなくて、メンバーが一緒になって曲を作り演奏している形式。要するに人気の2バンドによる夢の共演になっている。
ざらついて不吉なジャケットがある意味中身の音楽性を十二分に物語っている。
ざらついたモノクロ基調はぼやけて所々灰色に見える。
音楽的には苛烈だが、激しさで言えばデスメタルを突き詰めたバンドに何歩か譲らないと行けないだろう。しかし、この2つのバンドは凶暴ではあるが暴力を表現するというよりは悪意や物悲しさ、不吉さを指向するバンド(だと勝手に思っているのだが)のようだ。言うなれば悪い予兆の様なもので聞き手は体力というよりは精神的に削られるような印象である。
ザラザラした粒子の粗いギターが容赦のない低音で空間を塗りつぶしていく。勿論フィードバックも多め。
曲にもよるのだが、ベースの音の数がスピードに対して多い気がする。音的には割と角が丸い音なんだけど、えぐいくらいの低音。そうすると後ろで低音がぬらぬらぬらぬら動いていて大変気持ちが悪いわけだ。
ドラムは重々しく、また変に色気を出して手数を多くもしないので、死刑執行に赴く重たいマーチの用な悲壮感でもって、たまにでるシンバルのクラッシュが清涼剤に。逃げ場無し。
ボーカルはしゃがれたわめき声で(多分)Thou側がメイン担当だと思うんだけど、Thou本体より悲壮感のある曲を背景にもはや絶望感マックスな感じ。
ジリジリしたノイズがそれに覆い被さる。不気味なか細いコーラスや高音ノイズで不安感をあおる。息苦しい。カラーが増えたのに雰囲気は陰惨になるという不思議。

徹頭徹尾重苦しい空気だが、曲の尺がこの手のジャンル比較的短い事(長くて7分台。まあ双方ともスラッジバンドなので元々そこまで長い曲を演奏している訳ではないのかな?)、カバー曲の収録などなんとなくだが作り手の聴きやすさへの追求が垣間見える気がする。これは共作というかそれぞれのバンドが元々持っている姿勢なのかもしれないが。大分人を選ぶ先鋭的なジャンルであるし、メジャーとは違うのだから変な話が何をやったっていいわけで。そんな中で自分たちの求める芸術を突き詰めるのと、よく分かりやすさ(この手のジャンルだと大衆性とは言えないだろう)は嫌われるが、なんとなくこの音源を聴いて孤高の音楽でもむしろそういった制限があって私の様な聞き手は大いにありがたいなと思う。

話題の両バンド、どちらも聴いた事無い人は手っ取り早く両バンドの事を知るという意味ではこのCD、とても良いのではないでしょうか。

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