日本のノイズバンドの1stアルバム。
2014年に日本のDaymare Recordingsからリリースされた。
Endon始めてみたのは多分かなり前のVampilliaのライブでそのすごさに圧倒されてミニアルバム「Acme Apathy Amok」をかって帰った。音源は勿論格好いいものだったけどライブがすご過ぎた印象だった。
それからもう一度ライブを見る機会があってそのときも相変わらずもの凄いステージングだったけど、凶暴さは変わらずより音楽としては混沌としたものから、徐々に形が作られている様な印象でこれはすごいことになりそ〜と密かにしめしめと思っていたのだが、ようやっとという感じで1stアルバムがリリースされたということで一も二もなくかった次第。ちなみにアルバムリリース前にかのJustin先生とVatican Shadowによるリミックスレコードが出ていてこれもかって自分の中でも期待を高めておりやした。プロデューサーはBorisのAtsuoさん。ちなみにEndonのメンバーの方はMASFというエフェクターや楽器のブランドをやっていてBorisのWataさんモデルのエフェクターも出したりしているようだ。あぶらだこのヒロトモさんもMASFの楽器を使っているらしい。
アルバムのタイトルは「MAMA」である。ノイズバンドがこんなタイトルを付けるのだからこれはかなり気持ち悪いアルバムに決まっている。期待も高いがあまりにパワーのあるライブを見ていると音源に彼らの音楽が収まりきるのかな?という不安もちょっとはあったが、果たして聴いてみるとそんな不安は杞憂に終わった。
Endonはボーカル、ドラム、ギターというバンド編成にノイズ担当が2人もいる。
Swarrrmの感想では音楽で混沌を表現するのはとても難しいのでは、というような記事を書いたが、ノイズというのは混沌を表現にするにはとても適した音楽ではないだろうか。
私は完全な聴くだけの消費者だから詳しくは分からないが、ノイズは他の楽器と違って完全に同じ音が再現できないのではなかろうか。勿論演奏している人がこんな音やあんな音って器用かつ自在に操っているのではあるだろうけど、例えば音源と完全に同じ音をライブで再現できるかというと難しいと思うし、それこそレコーディングでも演奏するたびに微妙に異なってくるはず。まさにカオスだ。このアルバムではそんなカオスが自由自在に空間を支配している様なそんな音楽が展開されている。
ノイズが主役の様なバンドだから無理を承知で言うが、ノイズを省くと音楽性としては結構グラインドコアっぽい。2回目のライブを見たときもそう思った。ドラムがブラストビートをたたき出して、ソリッドなギターが疾走感のあるリフを奏でる。ただしどちらかというと音が流れているバンドなので、勢いを殺さない様なハードコアテイストの強いリフだと思う。とはいえピュアなグラインドバンドではないので、矢継ぎ早にショートカットグラインドを披露する訳でもない、CDでは一番短い曲でも3分ある。
突っ走らないパートも多いのだが、そのパートとグラインドパートの使い分けが抜群に上手い。そういうバランス感覚で曲を半ば強引にまとめているのがノイズだと思う。兎に角ノイズというのは縦横無尽かつ多彩なもので、よくよく聴くと本当に色んな音が流れるように連続して飛び出してくる。低い音高い音、金属音、ドローンめいた持続音、表現の幅の広さにはただただ舌を巻く。結果野蛮きわまりない動物園を超高速で移動しているようなカオスさが産まれている。
ボーカルはその風貌もあって人間というよりは凶暴や恐竜とか、そんなイメージ。ギャーギャーわめいたり、ぐおーぐおー唸ったりして獣の咆哮に近い。並のボーカルではノイズの洪水に埋もれてしまうだろうに、この轟音の中でもその異彩をはなつのは相当な個性だと思う。
ミニアルバムにも収録されていた「Acme Apathy Amok」はその姿を変えて15分超の一大ノイズ絵巻になっている。中盤以降の放心しきった様な不穏なノイズパートは静かなのに喧しいという非常にアンビバレントな状態が成立していて大音量できくと気持ちよいことこの上無し。
という訳で非常に気に入りました。破壊的な音楽を聴きたい人は是非どうぞ。
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