2014年9月23日火曜日

SWARRRM/FLOWER

日本は兵庫県神戸のChaos&Grindバンドの7年ぶりの3rdアルバム。(だと思う。Black Bongはカウントしていないです。)
2014年にDaymare Recordingsからリリースされた。
この記事ではこれだけ伝われば十分なので始めに書くが、とても素晴らしいアルバムなので色んな人に手に取って聴いていただきたいです。

さてSWARRRMです。オフィシャルサイトを見ると一番最初の音源が1998年。激しい音楽は世に沢山あふれているが、そういうのが好きな人なら日本のこのバンドの名前くらいは聞いたことがあると思う。私も初めて知ったのは結構前でそのときはボーカルの方が前任の人で、どちらかというとカオティックハードコアのバンドの文脈で耳にした様な覚えがある。それからボーカルが元HellchildのTsukasaさんに変更、私もそのタイミングで再録アルバム(インタビューを読むと再録なんだが、元々Tsukasaさんありきで作った曲みたい。)「Black Bong」を購入。あまりに何と表現した良いか分からない音楽性に吹っ飛ばされ、それから全部とは言わないのだがちょこちょこ音源を購入している。
待望のニューアルバムということで密かに楽しみにしているのだが、まずはGaradamaとのスプリット音源での超キラーチューン「花」(アホほど聴きまくった。)を意識したアルバムタイトル「Flower」にこれはすごいことになりそうと期待が高まり、いざ聴いてみると予想の遥か上を行く凄まじさであった。

SWARRRMの音楽性ははっきりってなんといったら良いか分からない。それは昔からで、インタビューを見るとしかしはっきりとグラインドコアを指向しているそうだ。ここでいうグラインドコアというのはブラストビートのことだそうで、なるほど確かにそういうことで言えばこのバンドはぶれなくグラインドコアだと言える。しかし曲を聴いたことは分かるだろうが、ピュアなグラインドコアのような単純明快さは確かに随所に顔を出すもののもっと曲は長く、そして圧倒的に表情が豊かだ。その表現力。見ていると表情が次々に変わる様な異様さ。それがカオティックと評される由縁だろうと思う。変幻自在だがその変化力はあまりに違和感がなく、見ていくと動き出すロールシャッハテストの図柄のように不穏で思わせがちで、そして真意を汲み取るのが難しい。
カオティックとは混沌だが、混沌を生み出すのは特に音楽では難しいと思う。完全なインプロゼーションならともかく整合性のあるバンド形式での”曲”となるとそれは混沌そのものではなく混沌の表現になってしまうからであって、それは矛盾だし、カオスではない。じゃあ混沌はどこにあるのかというとこれは完全に私の考えだが、曲が産まれる前がカオスであって、それをなんとか楽器で表現しようとするのが混沌の表現なのだと思う。よくわからんと思うのだが、私もよくわからない。でも喜怒哀楽のどれかを指向する音楽ではない、もっと長いスパンで考えるとそれはある意味日記の様なもの、人生の一部を切り取ったものであって、これはカオスだと思います。長い期間、たとえば一日でも良いんだがずっと楽しい人生というのはないと思う。そしてこれを表現しようとするがカオティックな音楽。だからカオティックな音楽というのは非常に表情が豊かで人を混乱させる。(どうしてもわかりにくいので)
SWARRRMは持ち前のカオスにさらに大胆にメロディとキャッチーさを追加した。しかしこのアルバムを聴いて日和ったなと思う人は皆無でなかろうか。むしろ混沌さは増し、聞き手は混乱するだろう。そしてその混乱の中で私はちょっとSWARRRMの言いたいことが分かる様な気がした。つまり共感できたのだ、混沌に。それがひとえにメロディアスさの導入によるものなのかは分からないが。
技術的には凄まじくテクニカルなバンドだが、今作もすごい。私もインタビューを読んでから改めて意識したが、ブラストビートは凄まじい。ベースは兎に角運指が激しく動きまくり、主張が激しい。ギターはブラックメタルを思わせる嵐の様な陰鬱なトレモロリフに加え今作では透明感すらある、クリーンでコード感のあるフレーズを多用していてそれがもう。もうヤバい。これが突き刺さるのだ。鋭く尖った、それでいて繊細な音が。そのメロディが。
Tsukasaさんのボーカルは前からすごいと思っていたが、むしろ静かな曲調が大胆に導入された今作では凄まじい。凄みがあると同時に暗い。劇的であると同時に自然で、手負いの獣の咆哮のようだ。日本語すごいです。
1曲目「幻」でうおおと思い、あっという間に流れ込んだ2曲目「幸あれ」を聴いてこれはとんでもないアルバムだと確信した。この途方もない空虚さをある種キャッチーなメロディにのせて打ち出す新機軸はどうだ。この表現力は音楽がまるで実体を伴ったような力がある。ほぼ実際にある様な姿形がある。

ここここで貴重なメンバーへのインタビューが読めるので是非。
(勝手に紹介してしまいましたが問題ございましたら、お手数ですがご一報ください。)

さてこんな記事を読んでいる場合ではない。(最後まで読んでいただきありがとうございます。)あなたはすぐにCD屋にいってお金を出し、アルバムをかってこないといけない。私はこんな音楽を生み出し世に出してくれたバンドのメンバーに本当お礼が言いたい。素晴らしい。これが音楽です!!!!と快哉を叫びたい超絶オススメの傑作。

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