2014年9月14日日曜日

Code Orange/I am King

アメリカはペンシルベニア州ピッツバーグのハードコアバンドの2ndアルバム。
2014年にConvergeのJacob主催のDeathwish Inc.からリリースされた。私がかったのはボーナストラックが1曲追加された日本語版でこちらはDaymare Recordingsからリリース。

元々はCode Orange Kidsというバンド名で2008年位ハイスクールに通う学生らで結成されたそうな。始めはストレートなハードコアパンクをやっていたが、次第にドゥーミィになって来たとのこと。2012年に前述のDeathwishと契約したとき18歳だったというからすごい。

プロデューサーはJacobと同じConvergeのKurt Ballou。今や売れっ子というかたびたび目にする。ちなみにこのアルバム、ビルボードのレコードランキングで首位を取った件で結構話題になっているよう。
一通り聞いた感想としては暗いハードコアだなあ。兎に角若い人たちのバンドだというのは知っていたので、とはいえ思春期特有の青臭さとか初期衝動とかあるのだろうな、と思っていたのだが聴いてみるとこれは暗い。徹頭徹尾暗いものだからちょっとビックリした。アメリカの若者は大丈夫なのか?ちなみに私は暗い音楽が好きなもんでこのアルバムもいたく気に入った訳だ。
ジャンルとしてはハードコア。それもConverge以降というか、強く意識した感じ。速いだけではなく凝った複雑な曲。そして後ろ向きな感情の注ぎ込み方が似ているところがあると思う。アーティスティックなんだけど遣り過ぎて装飾過多にしすぎないやり方。いわばハードコア流な男の美学とも言うべきスタイル。

跳ねる様なギターワークは結構Converge。プワプワした音を入れるリフ(ハーモニクス?間違っていたら失礼。)もそれらしい。さらに突進するというよりは、音の数を少なくちぎった様なビートダウン系のリフも大胆に取り入れて結構今風。バルンバルンしていてこれは頭を振るのに適している。弾き方のバリエーションもすごく多彩で前述のハードコアから一転陰鬱なアルペジオだったり、フィードバックノイズ、妙にソリッドなノイズなどなど結構自由に引き倒すイメージ。
ドラムは乾いた音で連打するスタイルなんだが、ドゥーミィな曲調にぴったりの一撃の重さ。疾走の軽快さとスラッジパートの重々しさの対比は素直に格好よい。
ベースは中々すごい。ぱっと見目立つ感じではないのだが、ヘッドホンでもって大音量で聴くとちょっとすごい。重くてちょっと輪郭が曖昧なもこっとした音なんだが、パートによってはパーカッションのようだ。スラッジパートではあふれる様なノイズい唸り。ギターが結構縦横無尽なのでドラムとベースで堅実に曲を演奏する様な印象。
ボーカルは三種類で一つはハードコアらしい性急なもの。生き急いでいる。それからこれもハードコアな低音。デスボイスとは違うもっと男臭いあれです。それからたまに出てくる女性ボーカル。(このバンド女性メンバーがいる。)三者三様なので一つの曲にしても聞き応えがあって良い。何より女性ボーカルはずるいって位。想像してほしいんだがドゥームなハードコアに怪しい女性ボーカルにメロディを歌わせたらそれはちょっと反則的に妙なハードコアになるに決まっている。このバンドは結構そこを上手く使って来て、結果差別化に成功していると思う。使い方もあざといとまでは言わない流儀でもって好感が持てる。
そんでもって出来る曲がこんな閉塞感に満ちたハードコアな訳だ。今も聴きながら書いているけどやっぱり暗い。曲としてはしっかりとした土台に派手なギターが乗る勢いのあるハードコアなんだけど、トータルとしてなんとなく陰鬱な印象を受ける。それは単に曲が遅いから、音が重いからというだけではなさそうだ。いわばConvergeが作り出した暗い、強いけどちょっと儚げなハードコアに若者特有の力強さでもって下向きの動きを加えたもの、とでも例えようか。

青春パンクって知ってます?まだあるのかな?私が学生の頃は全盛期みたいな感じで好きな人には申し訳ないのですが私は好きになれなかったな〜。で、今思うんだけどこういうCode Orangeみたいな青春パンク(青春パンクだよね?)だったら大歓迎だな〜。
という訳であの頃の青春パンクムーブメントに乗れなかったあなたにオススメのとても格好よいCDです!!


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