2013年3月30日土曜日

Igorrr/Hallelujah


フランスの一筋縄ではいかないブレイクコアアーティストの2ndアルバム。
音楽性もさることながら、気持ちの悪いアルバムアートワークで気になっていたので、このタイミングで購入してみた。このアルバムもアートワークが何とも気持ち悪い。
フランスのGautier Serre(28歳!思ってたのより若い)という男性によるソロユニット。
なんとあのMayhemのギタリストTelochがゲスト参加していたりします。

一筋縄でいかないというのはその音楽性であり、基本はテクノミュージック、その中でもブレイクコアということになるのだろうけれども、このGautieさんはどうも元々生粋のメタラーであるらしく(デスメタルとブラックメタルが好きで、このプロジェクトと別にWhourkrというエレクトロアバンギャルドデスメタル/グラインドコアユニットもやっとるそうです。)、もろにデスメタル然とした重いギターリフ、さらに幼少時はクラッシックやバロック音楽に触れていたとのことで、妙に古典的かつ荘厳なクラシカルパートが突然挿入されていたり、ぎゅわんぎゅわん歪められたデスボイスやら女の絶叫やら、クラシカル歌唱がこらまた突然喚きだしたりするのです。
さてこのGautieさんのすごいところはいろいろかつ過激な音楽の要素をかなりグロテスクに組み合わせて、アートワークのように妙に歪んだ作品として結晶化させているのですが、それを一つの曲として聴いたときに、見事に、そん色なくまとめ上げているところだと思いました。一つ一つの要素はかなり、かなり個性的なのですけれども、いろいろな風景をぶった切りにしてコラージュしたような不自然さはないのです。いびつながら絶妙なバランスで立っている奇怪な、そして動く(かなり奇妙な踊りを踊るに違いない)彫像のようです。
もひとつ面白いというか、好きになるりゆうがあって、それは憎めない音楽性であること。繰り返しになってしまうのですが、かなり奇怪かつグロテスクな音楽であることに間違いはないのですが、根底にあるのはユーモアではないでしょうか。例えば過激なメタルの持つ殺気というか、どうしようもない暗さというのはあまりないんですよね。じゃあ真剣じゃあないのかというと、まったくそんなことはない。一番しっくりくるのは人を食ったような悪ふざけでしょうか。悪戯心とでもいいましょうか、そういったものが原動力になっているような気がしました。このプロジェクトに限ればまぎれもなくブレイクコアといいきってしまっていいかなと思うのですが、つまりこのプロジェクト天邪鬼ながら聴いている人を楽しくさせたい!というポジティブな力で動いているように感じます。もちろん暗~いテクノもたくさんありますが、ブレイクコアの持つ過激なばかばかしさ、思わず踊りたくなっちゃうような楽しさがこのアルバムには満ち溢れていると思います。
一風変わった音楽が好きな方、またうっかりこの記事を見てしまった普通の音楽が好きな方にもお勧めのアルバムです。


Murder Channelさんのところで日本語のインタビューが読めます。
彼のルーツやバンドネームの由来などが読めて、とても面白いです。
http://mxcxhxcx.cocolog-nifty.com/mxcxhxcx/2012/12/mxcx-interview.html

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