2018年5月27日日曜日

Henry Fonda/Front Antinational

ドイツはベルリンのパワーバイオレンスバンドの2ndアルバム。
2017年にNerdcoreからリリースされた。
5人組のバンドでFBのステートメントからも分かる通り生粋のDIY、生粋のライブバンドのようだ。
日本のFast Zineのパワーバイオレンス特集で吉祥寺のtoosmell Recordsの方がリコメンドしていたのがこちらのアルバム。ほかに推していたMellow Harsherと一緒に購入した。

バンド名はアメリカの往年の有名俳優からとっている。同じパワーバイオレンスのCharles BronsonやスクリーモバンドのYaphet Kottoなどもそうだがどうもこう俳優から名前を拝借するバンドというのがいるのがハードコアらしい。
短い曲の中に高速と低速を巻き込んだ、つややかな音もモダンな香りのする今風パワーバイオレンスバンドだ。〜分というタイトな時間の中でも長尺(といっても3分くらい)のスラッジ曲もきっちり挟んでくる。
低速に落としてくるところは徹底的に暴力的だが、疾走するパートは重さを抜いており、またパンキッシュなリフをたようすることもあり、なめらかで爽快。ここら辺は同郷のYacøpsæを彷彿とさせるところがあると思う。低速高速どちらも地獄のバンドとは異なり、高低と明暗の対象がはっきりしている。流石にひたすら明るいという種の音楽でもない。メロディ性もきっちり皆無。なんといっても疾走感のあるパートからなめらかに、そして唐突に低速パートに突入するこの脈絡の無さが最高なのだ。気分屋の男が気持ちよく飲んでたら、突然本人しかわからない事情でキレだすみたいな、そんな嫌な感情の急展開を実にスムーズにこなす。この一見した所矛盾した自然な不自然さがこのバンドの何よりの魅力ではなかろうか。バンド名からして人を食っており、ステートメントにもユーモアのセンスを伺わせている。実際にその感覚は曲の所々で感じられて、やはりひたすら酷薄なバンドとは一線を画している。ただ終始ふざけているのかというとそんなことはなくて、特にアルバムの後半はそのシリアスさを増していく。雰囲気に酔っているとふとした瞬間張り詰める緊張感に突然気が付いて背筋が凍るということはたまにあるが、まさしくそんな流れを地で行っている。このファニーさとシリアスさの対比と同居というのも極端なパワーバイオレンスというジャンルによく合っている。
やかましくて展開が混沌としていてまさしく騒々しいという言葉ぴったりのパワーバイオレンスという。個人的に最近かなりよく聴いているお気に入り。

0 件のコメント:

コメントを投稿