フランスから地獄ドゥームMonarch!が2年ぶりに来日。でもってまた日本は大阪の和製トライバルスラッジBirushanahとツアーをするという。東京はCoffinsの企画。2年前もBirushanah帯同でしかも東京公演はCoffins企画。腰の重い私もちゃっかり見にいったのでした。あれから早いものでもう2年経つのか〜。
しかし今回東京公演は11月25日(金)という平日だったが、前回が楽しかったのと何と言っても現行オルタナティブSunday Bloody Sundayが参加するというのでどうしても見たかった。そんな訳で仕事場のトイレの窓から脱出した私は一路新大久保に向かった。
18時オープンの30分開始で私がついたの45分くらい。もう始まっているかなと思ったら幸い押している様だった。流石に定時ダッシュかまさないとな平日の早い時間帯なので人は少なめ。(最終的には大分入ってました。)
CARAMBA
30分押しで一番手はCARMBA。
日本の3人組のスラッジバンドでフィードバックノイズ垂れ流し系に厭世観たっぷりの喚き声ボーカルが乗っかるタイプ。かっこいい。開始10分ぐらいで思ったのが「こりゃGriefや」、道理でかっこいいはずだ。音は馬鹿でかいが完全低音志向ではなく、ざらっとひりついた高音も混ぜてくる音作り、リフの境界が融解した様な圧倒的ドゥーム感はまさにGrief。ただGriefに比べるとリフがさらに溶けている。そして微妙にゆったりとしたストーナーなリズム(特にベースかな??)がある。Griefにあるビンテージロック感やグローヴィサはあまり感じられなくてかなりの地獄。完全に人嫌い、世界嫌いな世界観で一切MC無しの潔さ。音源買っとけばよかったな。
Sunday Bloody Sunday
続いて日本のオルタナティブロックバンドのSunday Bloody Sunday!前述の通り今回のお目当。とにかくこの間リリースされた1stアルバムがかっこいい。いわゆるあの頃の「オルタナ」を2016年の今に演奏しているバンドで郷愁を感じさせつつも独自性を打ち出したその音楽性は音楽付きの三十路あたりを魅了してやまないとか。
ライブで聴くとものすげ〜〜〜カッコよかった。帰り道音源聞いたのだけど、結構かっちりまとまった音源に比べるとライブは当たり前だけど音がでかくて荒々しい。迫力満点で私の頭に思い浮かんだのはアメ車だ。でっかいハマーみたいなのではなく、ムスタングみたいなちょっと昔のかっこいい奴。ぎらりと光る金属の塊めいた乱暴さと粋を凝らした職人芸の技術がある感じ。とにかくギター/ボーカルの方のダボっとした佇まいがオルタナ感満載なのだが、出す音も中音が分厚く、刻みまくる小節の終わりに伸びるギターの音が艶やかで痺れる。エフェクターも多めで音作りにも気を使っているのだと思う。曲に対してボーカルの頻度がものすごく多くないのは、こうやって演奏を楽しむためなのではと。ドラムとベースは正確に土台を作っていってギターが歌いまくる。幼さを感じさせる甘めのボーカルも良い。この声が良いんだな〜と思う。例えばこれが強いとかっこいいけどHelmetには敵わないかもしれない。Coaltar of the Deepersみたく重めの演奏と甘めのボーカルの対比がオリジナリティ。
Birushanah
三番手はツアー主催日本は大阪のありがたい仏様(びるしゃなは毘盧遮那といって仏様のお名前なんだそうです。)スラッジメタルのBirushanah。個人的には本当好きなバンド。ドラムのメンバーが変わったんだと思う。アフロの人になってました。この手のバンドは珍しくステージのライト全点灯状態(多分)でメタルパーカッション(ドラム缶やタイヤのホイールなどを金属のスティックでぶっ叩く)の佐野さんの味のある口上でスタート。Birushanhはだいたい音源を持っているのだけど最初の曲はわからなかった。ひょっとしたら誰かのカバーだったのだろうか。「炎の中に投げ込む」みたいな歌詞が印象的。SBSと違ってエフェクター2個しかないギター/ボーカルのIsoさんは歌いまくりでその風貌もあってインディアンの歌姫みたい。「窖」(好きすぎるのでテンション上がりまくり)の変形から最新作魔境の「瞼色の旅人」へ。間に佐野さんのしゃべりを挟みつつ「鏡」で最後は佐野さんの銅鑼乱打でしめ。この曲は本当私歌えるからね。
「鏡」のイントロもそうだけどメタルパーカッションとドラムという打楽器二つが執拗に反復していく催眠性のある呪術的なスラッジでフロアを魔境に連れていくスタイル。後述のMonarch!と違って陰陽溶け込んだ異界っぷりはお祭感すらある。無二のバンドではなかろうか。CavoのCDとツアー初日の朝までかかって作ったというパッチが付いた魔境のカセットを購入。前回に引き続きおまけにポスターをもらいました。
Coffins
続いて企画の主催者、東京オールドスクールデスメタルCoffins。何気にCoffinsは何回かライブで見ている。いろんな企画に引っ張りだこということなんだろうな〜。
ドゥームの要素色濃いパワフルなデスメタル。今回改めて思ったのはドラムの力強さ。結構涼しい顔してアタックが相当強い。速度のコントロールには並々ならぬこだわりを感じさせせており、ドゥーミィなパートの重たさは勿論、ツタツタ刻むパンキッシュなドラミングも非常にカッコよかった。一見非常にとっつきにくい雰囲気なのだが実はかなりキャッチーでファンは勿論、初見でも盛り上がりやすい曲構成とそしてやはり熱い体温でフロアも盛り上がること。私はCoffinsスプリット音源しか持っていないのだけど、最後の曲は本当楽しかったな〜。ボーカルの人は最後フロアに降りてもみくちゃに。あれなんていっているのだろう?絶対100%違うだろうけど「B-boy Nation」に聞こえるな…とか思っていました。
Monarch!
最後はフランスの地獄ドゥーム。このバンドボーカルは紅一点女性なのだろうけど体調不良で今回のツアーはおやすみ。代わりにベーシストがボーカルを兼任することに。これはこれでレアだぞ、とみなさん思ったはず。ボーカリストEmilieはボーカルの他にエレクトロニクス(机に楽器置いて蝋燭を立てる)も担当しているからそこがなくなるとどうなるんだろう?という期待もあり。
完全に圧殺系ドゥームメタル。フィードバックも含めて全て低音にフォーカスされているので例えば一番手のCARAMBAとはかなり音のイメージは異なる。ドローンの要素が強いといっても良い。ただドラムが強烈で長身から腕をまっすぐ伸び切るくらいまで伸ばして(スティックをクロスさせる)から渾身の力で振り下ろす。全ての音がでかい。ボーカルは空間系のエフェクトをかけた歌詞のない絶叫スタイルで、地獄の谷にこだまする悪霊か、もしくは突風が立てる音のようで恐怖感を煽る。呪術的であるがBirushanahのお祭り感は皆無でひたすら重苦しくすりつぶす。ライトを落としたステージは長方形に切り取られさながら水槽のようだが、すぐに間違いに気づく。フロアが水槽でメンバーが音で私たちを溺死させようとしているのだ。控えめにいっても地獄だ。そしてそれが好きな奇特(危篤)な人たちもいるのである。音楽の性質から言ってインプロの要素が強いのかと思ったが実はかなり決めるところは決めるスタイルで、特にギターの二人はユニゾン(同じフレーズをフレットというか音域をずらして演奏する、ユニゾンじゃないかも)で弾いたりしてかなり実は凝ったことをしている。ライブ後に知ったのだが、ギターの人はポストメタル/スラッジバンドYear of No Lightでも弾いているそうだ。なるほど。
散々っぱら牛歩ドゥームを披露した後2年前と同様最後は爆走ハードコアナンバーで締め。フロアはむしろ呆然とした様子で面白かった。
というわけで2年前に勝るとも劣らず今回も楽しかった。結構アプローチが違うMonarch!とBirushanahが仲良しというのは面白いな〜。今度はEmilieも体調治してまた2年ごという話になっているので早くも楽しみ。
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