アメリカはニューヨーク州ロングアイランドのマスコアバンドの3rdアルバム。
2016年に自主制作にてリリースされた。
Car Bombは2000年に結成されたバンドで割とメンバーが流動的なアングラ界隈では珍しく結成当初から不動の4人体制のようだ。以前は激音レーベルRelapse Recordsと契約していたが今回はどことも契約していない状態でのリリースとのこと。私は前作リリース時に「車爆弾」とは剣呑な名前だなというのとアートワークが独特だなと思っただけど手は出さなかった。今回は本当になんとなくBandcampでかってみた。今回もそこはかとなく理系な匂いのするアートワークが印象的。
マスコアってことでなんとなく技巧的で高音でギターをピロピロしているハードコアなのだろうなと思っていたのだが、豈図らんや聴いてみると結構そんな先入観とは異なった音楽を演奏している。Meshuggahにすごい似ている。ガツンガツンと細切れにした低音リフをパーカッシブに演奏する。技巧的と言っても正統メタルなピロピロ感はほぼなく、デロデロデロとした垂れ流すようなリフの積み重ねや、来るか?って時にあえて外してきたりととにかくリズム、リズム、リズム。音のバリエーションはテローンと伸ばしたり、ハーモニクスなどの高音を飛び道具的に入れてきたりする。ドラムもテクニカルかつ正確でギターと合わせたり、意図的にタイミングをずらしたりする、こちらもドカドカ、休止、ドカドカ、休止と言ったように休符と言うか細かいストップアンドゴーを繰り返すフレーズが多用されている。ここで言うストップアンドゴーは速度は一定だが休止が多いと言う意味。速度は早くも遅くもない中速でどっしり系。非常にマシン的であり、知的な音楽になっている。私はDjentというジャンルをほとんど全く聴いたことがないのでなんとも言えないのだが、少なくとも昨今のMeshuggahには多大な影響を受けているのだろうと思う。デス声までいかない、高音スクリームを織り交ぜたドスの効いたボーカルもJens Kidmanを彷彿とさせる。
こうなるとじゃあMeshuggahとどこか異なるのかというのがこのバンドの持ち味になって来るわけだけど、このバンドは結構テクニカルかつ無機質なパートに有機的かつメロディアスなパートを織り交ぜて来る。この時ばかりはボーカルもクリーントーンでわかりやすいメロディ(キャッチーとまではいかない位)の歌を歌う。ここら辺はMeshuggahにはない部分かと思う。メタルコアっぽいというよりは個人的には往年のニューメタルっぽさを感じた。クリーントーンにエフェクトをかけたりするところとかは特に。演奏が複雑という意味では明確にニューメタルとは違うのだが、曲作りにはそこを通過したような残り香がある。明確にマシンパートとニューメタルパートを分けた楽曲も良いけど、4曲め「Gratitude」の様にその両者の要素を溶け込ませたハイブリッドなつくりの曲に独自性と面白さを感じた。そのあとの5曲め「Constant Sleep」も騒がしい前半と不穏な後半が楽しい。
というわけでMeshuggah好きで三十路くらいの人は聞いてみるとおやと思うかもしれない。冷徹な音楽なのに頭でっかちになりすぎないところが良いバランス。
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