2014年に一風変わった一癖も二癖もあるメタルバンドの音源ばっかりリリースしているProfound Lore Recordsからリリースされた。私がもっているのは2010年のデモ音源CDがついた日本盤で、こちらは御馴染みDaymare Recordingsから。
Pallbearerは2012年にリリーされた1stアルバム「Sorrow and Extinction」がPitchforkなどのメディアでベストに選出されたりと話題を呼んだもので、日本でも色んなブログでほめられていた記憶も新しい。私は何となく乗り遅れたというだけで聴いてなかったんだけど、今回新アルバムリリースという事で手に取ってみた次第。
バンド名のPallbearerというのはお葬式の際に棺を担ぐ人のことを言うらしい。業者というよりはやはり親しい人が担ぐのかな?まあそんなバンド名もあって非常に哀切とした雰囲気のあるドゥームメタルを演奏するバンド。
ドゥームメタルも当初となっては色々なバンドが色々な音楽をならしている昨今。激しくなる一辺倒とは言わないけど、この手のジャンルに置いてはやはりブルータリティというのはひとつの大事な指標でもって、多くのメタルバンドマン達も目には見えないけどそのゴール(明確に序列や地点がある訳ではないので勿論これというゴールはないですが。)にむかって切磋琢磨しているわけなんだけど、そんな中では結構異質な音楽をやっているという印象。暖かみのある演奏にクリーンボーカルがかなり伸びやかに歌い上げるというそのエピカルなスタイルが逆に昨今の音楽業界では目立つのかも。
私は軽薄な音楽好きなのでドゥームの歴史をひもといて考察する事ができないのだが、音楽は勿論、ちょっと不気味だが落ち着いたそのアートワーク(特にインナーとかはそうなんだが)も含めて意識的にある種のレトロ感を演出しようとしているのは間違いないと思う。
ぐしゃっと押しつぶしたように重みのあるドラムは破裂する様なタムとキンキンしたシンバルが良いアクセント。
ベースはぐーんと迫るように良く伸びる。アタックが格別強い訳ではないが、しっとり艶やかかつ厚みのある低音でドラムと合わせてドゥームの土台作りはばっちり。
ギターは2本で、両方ともにヴィンテージな暖かみのある音で、ジャリジャリしすぎない粒の粗さで詰まった音。ドゥームという事もあってアタック後の伸びが命。厚みのある良いんの気持ちよさがこのバンドの魅力の一つだと思った。2本でも微妙に音に差があって片方が職人芸って感じでひたすらドゥームリフを奏で、もう一方が広がりのある悲しい単音リフを担当というバランス。長めのギターソロも五月蝿くなくそれまでの演奏に良く馴染んだ形で良いアクセントになっている。
ボーカルは結構高めの音で、とにかくコイツが歌いまくるもんでこのバンドの一番の特徴かな。メロディアスに歌いまくる。
無骨な演奏かと思っていたけど、実はギターが結構饒舌でつま弾かれる様なフレーズは結構メロディアスだ。メタルには違いないけどミュートはあまり多用せず、あくまでもためる様な曲のアクセントで全体的には結構伸びやかに進む。ゆっくり流れる川みたいなイメージ。だから曲の尺は長いんだけど、ぶつぶつしている印象はなくて自然に最後まで聴ける。間の取り方は贅沢でこれも激しい音楽性だと中々できない曲作りかもだ。全体的には物悲しさが支配した様な曲調なのだが、その暖かみのある演奏とメロディアスなボーカルによって残虐性は皆無で、もっと奇妙に荒廃した風景を眺めている様な、そんな雰囲気。孤独感はありつつも閉塞感はないので、音的にもすっと耳に入ってくる。
始めは正直悪くないんだけどちょっと地味すぎるかな…と思っていたけど、そもそも激しさを期待するのが畑違いだった訳で、このバンドの特異なところに注目してみると中々よいアルバムだと思う。視聴して好みだったらどうぞ〜。
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