2013年7月6日土曜日

Locrian/Return to Annihilation

アメリカはイリノイ州シカゴのバンドLocrianの新作。2013年エクストリームメタルレーベルRelapse Recordsからリリース。その音楽性も含めて結構謎なバンドですが、CDのクレジットをみるとメンバーは3人です。

私は2010年発表のJ.G.バラードの「結晶世界」(この本も素晴らしいのでおすすめですよ。)に影響を受けたアルバム「The Crystal World」を聴いてその衝撃で吹っ飛ばされて以来のファンです。今回は「絶滅への回帰」というタイトル通り、かなり派手かつ破滅的なないようになっています。始めに書いちゃうけど劇的おすすめアルバム。

灰色のアートワークはスティーブン・キング原作の映画「ミスト」(これもまた素晴らしい映画でした、体力削られすぎて何度もみれないんだけど。)を思わせるぼんやりとしたもの。あの霧の先には何があるんでしょうか。全く視界の効かない世界です。
2011年の「The Clearing/The Final Epoc」やMamifferとのコラボ作は彼らの持つ実験的なドローンミュージックの側面が強調されていて、それはそれは地獄のような荒廃した風景が眼前にて展開されたものでした。
今回のアルバムは彼らの持つロックよりのアプローチがかなり強く反映されており、前述の作品群に比べるとかなり分かりやすいものになっていると思います。
ドラム担当の新しいメンバーが加入したことで(Wikiをみるとその人をのぞいた2人がメンバーとして記述されているのでおそらく)、ドラムの導入されている曲が多く、曲にメリハリがついているので、鈍痛がゆっくり続く生き地獄(こっちも大好きです。)要素が減退したのかと思います。じゃあ曲がぬるくなったのかというとそんなことは全くないのでご安心を。相変わらずの地獄絵図がこれでもかというくらいCDが終わるまで続きます。あなたがこの音楽を聴くと時間と引き換えにあなたは絶滅されます。
ロック要素が強めなので(といっても勿論通常のロックミュージックにはなっておりませんが。)静と動の要素がかなり強く発揮としている印象です。静寂のパートはドローンとしたノイズ(バリエーションがあってすごくイイネ!)やスペーシーなシンセ音、忘れたようにつま弾かれるギターの音色。まさに霧のようにもやもやと空間を不穏な音で埋め尽くしていきます。このバンドのすごいところは曲の統一感を保ちつつ音がそれぞれバラバラに聴こえるのですよ。気味が悪い(勿論褒め言葉。)。悪い知らせを不安な心持ちで待っているようです。気づくと霧に包まれている。
そこにドラムが何食わぬ顔ですっと入ってきます。霧の向こう側から。始めは控えめですが、段々と存在感を増してきて、爆発!ノイズとしかいえないような轟音パートに移行。ギターのフィードバックノイズも5割増くらい、独特の叫び声がエコーを伴って不吉なサイレンの様に響き渡ります。曲のテンポはゆっくりしているのでたっぷりと終わらない地獄を味わえるという寸法です。

メンバーの3人に惜しみない拍手を送りたい位の傑作。
リリース前の視聴で1曲目の「Eternal Return」を聴いてその音楽性にぶっ飛んで、リリースを一日千秋の思いで待ちわびましたが、ふたを開けてみたらやっぱり大傑作でした。
素晴らしすぎてCD岳では飽き足らずレコードの方も買ってしまったくらい。
私的には全人類必携のアルバムなのですが!
暗い音楽が好きな人は手に取って損はないでしょう。
↓是非まず聴いてみてください。

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