2013年7月14日日曜日

Bell Witch/Longing

アメリカはワシントン州シアトルの2人組ドゥームメタルバンドの1stアルバム。
2013年Profound Lore Recordsから。
レーベルがレーベルなのでその音楽性はともかく、まあ普通ではないのだろうなと想像がつくと思います。
面白いのはバンド名でBell WitchまたはBell Witch Hauntingというのは19世紀にアメリカの南部テネシー州で起きたとされる一連の幽霊事件にちなむそうです。1800年代始めに農家を営むBell家で発生したポルターガイスト現象とその他の怪奇現象をBell Witchというそうな。面白いのは魔女はあくまでもその実体を表さないそうです。ものが動いたり声がしたりするのだけど、姿は見えない。怖いです。恐らくアルバムのジャケットものその伝説をモチーフにしているのかと。
バンドロゴはちょっとサイケデリックな感じ。

音の方はというとベーシストとドラムのデュオで音の数は少なめで曲は長め。
ギター(多分ベースだけじゃないと思うんだけど…)と6弦ベースがつま弾かれ、ドラムが重々しくビート(として成り立っていないんじゃないかってくらい遅い)を刻み、怪しいボーカルが入るスタイル。盛り上げるパートでは弦楽器が叩き潰すような重いスタイルになります。激しさ一辺倒ではなくて、途方もないような、突き放したような、真っ黒い底の見えない井戸を覗き込んだようなアンビエンスを感じさせる「間」があります。デスメタルを始めとした音楽において憎悪だったり狂気だったりという負の感情は激しい演奏スタイルで表現されることが多いですが、ある種の諦観めいた絶望というのはこういったむしろ静寂といったような音楽性がよく似合うなと思います。

ひたすら重苦しく、ずーんずーんと繰り返す様はまさに地獄絵図としか言いようがないろくでもない音楽です。私のような人間にはたまらん。真っ黒いそのスタイルはちょっとSunn O)))に似ているかなと思いましたが、ドラムもあるしもうちょっと普通の曲として聴けます。フューネラルドゥームっぽい雰囲気がありますね。ブラックメタルっぽさはないのですが。
このバンドで面白いのは何と言ってもボーカルでしょう。グロウルのような低い低いデス声はある種こういった曲調には王道のパターンですが、それに加えて悲鳴のようなわめき声、さらに朗々と歌い上げる妙に怪しい雰囲気のある歌声、日本のお経のようなぼそぼそとした恨み節とかなり多彩なボーカルスタイルが一曲の中に混在しておりまして、極端な音楽性のため単調になりがちな曲をかなり起伏のあるものにすることに成功しております。始めは取っ付きにくいけど、よく聴くとあららなんだか格好良いんじゃあありませんか、となる強面なのに話してみると意外にいいやつ的なアルバム。ただし頭はちょっとおかしいです。

万人にお勧めできるアルバムではないですが、好きな人にはたまらないんじゃないでしょうか。俺は暗い音楽が好きだぜ!という方はちょっとまあ聴いてみてください。気に入ること請け合いです。
↓意外に聴かせるでしょ。

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