2013年6月23日日曜日

Deafheaven/Sunbather


アメリカはカリフォルニア州サンフランシスコのバンド。
2013年にConvergeのジェイコブさんのレーベルDeathwish(元ネタはチャールズブロンソンの映画なのかな)からリリースされた2ndアルバムです。

ラベルをみてもらうと分かるんだけど、このバンドの音楽性ははっきりとしたジャンルでくくりにくい。ボーカルはブラックメタル系のギャーという感じの若干ぶち切れたようなテンションの叫び声。トレモロリフを多用したリフは確かにブラックメタルを思わせるんだけど、音質はブラックメタルの邪悪で劣悪なそれとはほど遠く、ハードコア由来のポストロックのようにクリアでなんていうかこうキラキラしとる。音の重厚さと同居する芳醇さそして独特の反響は、アレ?シューゲイザー?激しかったのが一転平気でピアノなんか入れちゃったりして、あらステキという感じはまさにそれっぽい。
要するにいろいろなジャンルの影響が見て取れるんだけど、全体に吐き出されるのがつぎはぎだらけのいびつな音楽というよりは、多様な要素が見事に調和している素晴らしい作品になっております。
彼らのルーツがいずれのジャンルなのか分からないけど、確かにそれぞれのジャンルが似た部分を持っているから不思議にしっくりくるんだよね。海外ではこういったジャンルをBlackgaze(ブラックメタル+シューゲイザー)とかポストブラックといったりするそうです。

それにしても結構キラキラした演奏にブラックメタル然とした叫び声というのは非常にしっくりくるよね。あとは曲の展開が激アツなんよね。結構あざといくらいドラマチックに作られているんだけど、これだけの完成度でもって演奏されてしまうとそれはもうごちゃごちゃいわずに酔いしれるしかない訳です。比較的曲が長めなんだけど(だいたい9分〜15分くらい)ちっとも気にならない。轟音をまき散らしながら疾走するパート、嵐の前の静けさのような予兆を感じさせる不穏なパート、反響に満ちたゆらゆら揺れているようなアンビエントなパート、いろんなパーツがパズルのピースのように見事にはまっている印象。渾然一体とはこのことか。例えばVertigoという曲ではゆったりとしたポストロックポイパートから妙にメタルっぽいギターソロが唐突に飛び出してくるのに吃驚していると、あっという間に凶悪なボーカルが洪水のような激しさで襲いかかってくる。こいつは新しい時代が生み出したキメラ的な音楽なのだろうか。いろんな動物のパーツでできているキメラだが、昔の人もありえねーと思ったらしく、キメラという言葉にはあり得そうもない奇妙な、といったような意味もあるそうだ。なるほど確かにDeafheavenの音楽は奇妙ではあるのだが、実際に確固として存在していることを考えると、彼らは決していびつな混合生物キメラではないのかもしれない。

オシャレかつポップなジャケットは初めてにとったときはうおお、ひねくれてるねと思ったけど、アルバムを聴くと結構なるほどとうなずけてしまうから不思議。

これはすごいアルバム!
皆さん買って聴きましょう。


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