2016年4月23日土曜日

Weekend Nachos/Still

アメリカはイリノイ州シカゴのパワーバイオレンスバンドの4thアルバム。
2013年にRelapse Recordsからリリースされた。
「週末のナチョス」という変わったバンド名で(ナチョスはメキシコ料理)で、FBをみるとタコベルとWhite Castle(調べるとアメリカのファストフードチェーンのようだ)が好きだよ、と書いてある。おそらくふざけているのだろうが、その音楽は真剣そのものである。
元々Pig DestroyerのScott Hullが編集したコンピレーションに収録されたのが切っ掛けでその名を知り、激しい音楽性をやっているのに「静寂」というアルバムをしかも何ともエイ内深い味わいのあるアート枠でリリースするとは…と気になってはいたのだが、そのままになっていた。このバンドなんと2016年に解散すると事前にアナウンスしており、最終アルバムをリリースするタイミングでの世界ツアーの一環として日本にもライブに来るという。(このライブについてはこの間感想を書いた。)なんとそういうことならと今回アルバムを買った次第。

音の方としては完全にハードコアで、高速と低速の間を神経症的に往復する激しいものでまさにパワーバイオレンス!
ほぼほぼ1分位の曲が全部で12曲21分。
スタスタ疾走するテンション張ったタムが気持ちのよいドラム。
ハードコアらしく硬質な低音でゴロゴロ唸り上げるベース。
金属的な触感を持つ重みのあるギター。
欠陥切れそうなボーカルは終始咆哮。勿論メロディもへったくれもあったものではなく、甲高いシャウトは神経症的だ。ハードコアなドスの利いた吐き捨て型との使い分けもとても良い。たまに入る男臭いコーラスも高揚感を煽ってくる。
文字開局の中でもグラインドコア顔負けの獣のように疾走する激速パートと、ためのある重苦しいリフが印象的なスラッジパートを巧みに織り交ぜてくる。いわば完全に殺しに来ている音楽だが、5曲目などは「I don't give a fuck」と叫ぶ自暴自棄めいた激しさの中にもギターのメロディアスさがキラリと光ったりする。メタル方面にありがちな無慈悲さや禍々しさとは無縁で、もっと背中で語る様な哀愁がある。それは猛スピードでぶっ飛ばした後の、放心した様なスラッジパートによりよく良く表現されている。例えばクラスト勢が一見近寄りがたい雰囲気の中にその激情を隠し持っているあの感じに少し似通っているものがある。ただしこちらの方が圧倒的に無骨だ。

呵責の無い音楽性なのだがライブだと、音の迫力はさらに増すのに断然暖かい雰囲気になるのはとても不思議でそこが面白いところだ。もちろん音源だけ聴いてもとても素晴らしい。
パワーバイオレンスが聴きたいんだけどな気分で未だの人は是非どうぞ。

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