2015年6月6日土曜日

Sutekh Hexen/Become

アメリカはカリフォルニア州オークランドのブラックメタル/ノイズバンドのEP。
2014年にいくつかのレーベルからリリースされた。
このバンドの事は全然知らなかった。実は国内のとあるディストロに入荷されて興味を持ったんだけど、メディアがカセットテープだった。私はカセットを聴ける環境に無いSentient Ruin LaboratoriesのBandcampからデジタル形式で購入した次第。(ディストロさんには申し訳ないです…)

バンドは2009年に結成されて現在は4人編成のようだ。読み方はステク・ヘクセン?スーテク・ヘクセン?Metallumにもページがあるブラックメタルバンドなのだが、少なくともこの音源ではどちらかというとノイズ成分の方が多く感じた。分かりやすく言うと分かりやすいドラムによるリズムがない。(代替としてずずずずという低音が脈動しているのだけど。)ブラックメタルの特徴の一つであるトレモロギターリフが無い。ボーカルは酷くエフェクトをかけられている。さらにバックのノイズにとけ込んでいて判別がつかないといった様相。2曲でそれぞれだいたい15分ずつ。
特に反響を意識したその音楽性はドローンの影響が色濃いと思う。ただし正統派のドローンというよりは多重構造のノイズが常にその形態をかえながらずりずり蠢く悪魔めいたもので、その音楽性故かなり五月蝿い。メタルの音楽性だと単発の音の連続がすごく多いけど、この音源はずっとなり続ける音がうねり続ける。
ベースにはズズズズズという低音があり、若干ガリガリしたノイズが押っ被さる。2曲目の方は結構ギターリフははっきり聞き取れる。反復的なそれはあまりメタル的ではない。どちらかというと曲の雰囲気も相まって反復的なリフが儀式的に聴こえる。リバーブが極端にかかったボーカルがなにかわめく。チリチリしたハーシュノイズが顔を出す。全体が霧のように模糊としている。いかにも召還の儀式めいて来て霧の向こうから異形が姿を見せる、何かが動いている、あくあまでも異形そのものではなくて、その到来の予感矢不安感をあおる音楽性でそういった意味ではなかなかに美しいところがあると思う。
こうなってしまうと私の頭と語彙では曲を分解してどこどこが良いというのは非常に難しいのだ。どうもとらえどころが無く、それ故に楽しい。思うにこういう音楽はとにかく音量をマックスに上げて聴くのが最高に気持ちよい。

ところでカセットテープは実は優れたメディアで嘘かほんとか分からないのだが、特にノイズのジャンルには音質的に適しているらしく最近リリースが増えているとか。必要に応じてターンテーブルを購入して大分経つが、いよいよカセットが聴けるデバイスを購入しなければならないのかもしれないな。なんだか面白いよ。私はどちらかというとMD世代なのでカセットというと中学生とか高校生時代の英語の授業を思い出してしまう。
という訳で私は非常に気に入りました。別の音源を探してみようと思っております。

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