2015年2月28日土曜日

Prurient/Bermuda Drain

アメリカはカリフォルニア州ロサンジェルスのミュージシャンDominick Fernowによるノイズプロジェクト。
2011年に今はなき(?)Hydra Head Recordsからリリースされた。兎に角多作でこれが一体いくつ目のフルアルバムか分からなかった。
私はこのミュージシャンの音源は同じくHydra Headからリリースされたジャスティン先生のJK Fleshとのスプリットを持っている。当時この色目も鮮やかなジャケットをサイトで見て気になっていたのだが買う事は無かった。
今年になってバレンタインにTwitterでかのProfound Lore Recordsがバレンタインにこのアルバム収録の曲を呟いており、聴いてみたら良かったのでデジタルで購入。

wikiによるとマイクとアンプ、たまにドラムで曲を作っているらしい。
その音楽性はノイズというと一番手っ取り早そう。
ただ壁の様なハーシュノイズとは一線を画した独特の音楽性で、簡単に言うとハーシュというほどハーシュではない。音の厚さと数が少ない。こう書くとなんだかノイズを薄めたぬるい音楽に聴こえてしまうかもしれないがそこは誤解だ。まず強烈すぎるが故に曲のバリエーションをぐっと減らしてしまうハーシュノイズ(絵の具の黒みたいな)の使用を押さえる事で楽曲の幅が広がる。いわばハーシュに頼らない繊細さを獲得している訳で、そこにさらに空間性のあるシンセのまろやかな音をかぶせる事で一種独特の静謐性を楽曲に持ち込んでいる。音楽で静謐性というと矛盾しているようだが、逆に攻撃的なノイズの一音が意識されて映えるように思う。ポツリポツリと呟く様な本人の声が重ねられており、無機的というよりは有機的な音楽性を志向している事が伺える。
ある意味アートな音楽になって来たようだが、アート糞食らえと言わんばかりに妙に生々しいシャウトを入れてくるのがDominickスタイルの様で、一発取りのような臨場感のある妙に素人っぽいそのシャウトがあっという間に曲を地獄の様にしている。シャウトだけにとどまらずどこか煙に巻く様な底意地の悪さが素直に提示されているような印象で、折角丁寧に作った料理に生ゴミをぶちまけた様な様相。私が美食家なら何してんの!といきり立つ分けなんだが、あいにく悪食な私は良いじゃない!と親指を立てるのである。このぶちこわし感がたまらない。作品が気に入らなかったから気まぐれにぶちこわす芸術家というよりはぶちこわしにするのが彼の芸術なのだ、きっと。そういうこだわり好きです。
ガシャガシャしたインダストリアルなドラムビートが冷徹な曲だったり、妙に古くさいシンセロック然とした曲、模糊とした幻想に悪夢が侵入したみたいな一見穏やかな曲などかなりアイディアがある人らしく、このアルバムも曲によって結構触れ幅が大きくて、それゆえむしろややと掴みづらいアルバムになっている。ここをポジティブに受け取るか、ネガティブに受け取るかは聞き手次第か。私は全編本気を感じて、たまに卑怯なくらいな奇麗さを出してくるその音楽性結構気に入りました。

まあまあ人を選ぶ音楽性だと思うが意外にロックな要素があると思う。気になった人はどうぞ。
↓この曲は素直に美しいと思う。


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