2015年にWarp Recordsからリリースされた。私が買ったのはおまけがついた日本盤。
2014年に「Druqks」以来13年ぶりのフルアルバム「Syro」をリリースした事も記憶に新しいコーンウォールの奇人Aphex Twinことリチャード氏だが、2015年1月9日突如次の音源をリリースすることをアナウンス。それがこのEP「Computer Controlled Acoustic Instruments Pt2 EP」。13曲収録なんでアルバムっぽいのですが、兎に角曲の尺が短い曲が多くて3分超えるのは4曲しかない。あっという間に終わってしまう27分。ってことで恐らくEPなのかと。ちなみにPt1は世に出ていないようだが、リチャードおじさんの事なんできっと膨大なハードディスクのどこかに収録されているのだろうと思う。(インタビューで兎に角曲はいつでも作っているけどコンパイル(マスタリングかも)がめんどくさくて結果リリースが無い時期が長かったんだよね〜と語っておりました。いっそ家宅捜索でもしてHDD全部押収して誰かにコンパイルさせたら滅茶苦茶沢山音源出せるんじゃないのだろうか…)
気になる中身の方はというとまたこれが大分変わったものになっていて少なくとも「Syro」とは少し異なるのは確か。曲のあちこちに”らしさ”は感じられるものの曲を構成している音自体がかなり異色になっている。ここでタイトル「Computer Controlled Acoustic Instruments Pt2 EP」が出てくる。訳すとコンピューターがアコースティック機器を制御したパート2EPだと思うから、私は最初アコースティックなデジタル音源のみを使ってソフトウェア上で作ったのがこの音源なのだと思っていたが、どうも違うかもしれない。
Twitterで見たのだけれども曲名に入っている「snar」とか「Hat」とか言うのは本物のドラムの一部をロボットによって叩かせる機械のことらしい。そうなると事情は変わって来て、本物の楽器を全部デジタルではなくて実体のある機械に演奏させている、という意味になってくる。まあ真偽のほどは分からないんだけどリチャードさんならいかにもやりそうだなあ、と思ってしまうのは確か。
まったくピコピコしていないし、いかにもアコースティックな音達がやや陰鬱な楽曲群を構成している。やはりビートに焦点が当てられた印象で、メロディ性は基本希薄である。
跳ねる様なスネアが基本のビートを作る。やや音の数は多くてチキチキキンキンしたハイハットが気持ちよい。冷たいピアノがメロディと呼ぶには儚い旋律をループする。浮遊感のあるドローンめいた音が霧のように静かに足下を覆っている。だんだんと楽器が増えて音が重なってくるようにテンションがあがってくる、と思うとふっと終わってしまう。
とくに短い曲は本当フルアルバムに置けるインタールードの様な印象でミニマル性が強くて幕間のようにあっという間に終わってしまう。本人は遊びで作っているかもしれないのだが、やや張りつめた様な緊張感をはらんでいるものもあって短いと言っても馬鹿にできない。
全体とを通してただその中にもピアノや打楽器の反響を活かした空間的な音使いがされていて、個人的には特にそこに美しさを見いだせた。BPMも低めでゆったりとした速度なのは1音1音を楽しんで聴いてくれ、というメッセージなのかもしれない。アコースティック機器の柔らかさと頑迷さを混沌ではなくて、あくまでもテクノい曲の作り方で表現したのは流石なのだろうと思う。
個人的には「Druqks」収録のアコースティックな雰囲気の暗い曲群を思わせる楽曲はとても好意的に受け入れられたので楽しめて聴けた。wikiの評価を見ると結構賛否両論なのかもしれませんが…という訳で「Druqks」が好きな人は多分気に入るんじゃないかと思いますよ。煙に巻かれている気がしないでも無いけど素直に曲が良いか悪いかで良いんじゃないですかね。
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