2015年にCentury Media Recordsからリリースされた。
私が買ったのはボーナストラックが追加された日本盤。こちらはトゥルーパーエンターテインメントから。
前作「Utilitarian」が2012年のリリースだから3年越しのニューアルバムという事になる。私は見てないけどライブでの来日に合わせて日本のテレビ番組にも出たそうで。グラインドコアといったらNapalm Deathなんだろうけど、まだまだ現役第一線で活動しているバンドですね。
Apex Predatorという耳慣れない単語は「頂点捕食者」という意味らしい。人間の事かと思ったら調べてみたらそれぞれの分野で結構数がいる印象。「簡単な肉」というのは敵がいない故に簡単に手に入れられる肉、という意味だろうか。CDのケースが分厚く2枚組か?と思ってしまうが、じつは分厚いブックレットがついていてそのため。タイトル通り肉肉しい気持ち悪いアートと曲後との歌詞が読みやすく印刷されている。日本語訳を見ても分かるが、このバンドはやはり根っこにハードコア精神があって攻撃的な楽曲はそれ自体キャッチーに目を引くが、それだけじゃなくて歌詞を読んでくれ!という意図を感じる。
ボーカルは相変わらず独特な咆哮スタイルだが、今回ややのどに引っかかる様な掠れ具合を付加して来ていてしゃがれ感でもって迫力アップしている。ギタリストの高音スクリームとの相性も抜群ですね。それでも歌詞が全く分からんというデス声感は引き続きなし。曲名や特定のフレーズを繰り返すのがNapalm Deathの特徴の一つだと思うのだけど、多分それでキャッチーさが大きく増していると思う。一緒に声を張り上げて歌い(叫び)たくなる。
ギターの音は結構中音が意識されたソリッドかつメタリックな音質で、よくよく聴いてみると低音命のメタルのそれとはかなり異なる。解説で行川さんがMy Bloody Valentineを引き合いに出しているけど確かにそういわれると音楽性は大分違うものの要素的には相通じるものがあるなと思う。勢いがありつつもあえてのつっかかり間ともいうようなフックのあるフレーズをリフに混ぜてくる。とにかく空間に対する音の密度が異常なほど濃い。
反面ベースとドラムは結構えぐいくらい低めに設定されていて、特にバスドラはひたすら重い。こんなに重たかったっけ?というくらいに。回転する様なタム回しもある程度主さがあって軽機関銃のような感じ。
ブラストビート頼みの速い一辺倒ではなくて、曲によっては結構中速でせめて来る。音の数が多いのでもたっている印象は全くない。さらに”疾走感”が意識されているので矢継ぎ早な感じ。例えばハードコアなんかは遅くする事で強制的なモッシュ感や気持ちのよさを演出しているけど、このバンドの場合はハードコアといってもやはり年期を感じさせる初期のものへのリスペクト(というか根幹になっているのか)が強いのか、流行とは無縁、かつ独自の尖ったスタイルを実現している。遊びじゃねえんだよというシリアス感と気持ちよさをここまで絶妙なバランス感覚で表現できるバンドというのは(しかも速さが売りのグラインドコアというジャンルで)なかなかいないのではなかろうか。
個人的には前作よりストレートで聴きやすい印象。うーん、カッコいい。
この手のジャンルが好きな人は迷わず勝手間違いないかと。オススメです。
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