2014年に自身が参加するレーベルBedroom CommunityとMute Recordsからリリースされた。私がもっているのはボーナストラックが1曲追加された日本語版でこちらはTrafficというレーベルから発売された。
私がBen Frostの作品を買うのはこれが初めて。このCDを買ったのは先に紹介したVampilliaの1stアルバム「my beautiful twisted nightmares in aurora rainbow darkness」をプロデュースしたのがBen Frostだったからである。付属の解説を読むと実はこちらも以前紹介したTim Heckerの「Virgins」にピアノとそれからエンジニアとして参加していたらしい。他にもブライアン・イーノとコラボしたり、Swansのリミックスをしたりと結構売れっ子のプロデューサーのようだ。
曲の方はというと北欧に拠点を置くということも頷ける冷たい電子音が主体となったアンビエントミュージックなのだが、アンビエントというには少しノイジーかもしれない。インダストリアルとも紹介されているが、結構ビートがはっきりしていて、重ーい金属的なビートがどしゃ・どしゃと鳴り、ノイジーな高音がひゅんひゅん飛び交ったりもする。ドローン要素も多分に含むが、前述の通りビートが結構太いのでそこまで難解ではない印象。ただしビートがあるといっても踊れる様な音楽では勿論無い。不吉な機械が唸り上げる様な音、妙に震えて千切れたノイズ、チリチリしたほのかなノイズ、柔らかな鐘の音など音の使い方が幅広く、ミニマルな楽曲が1周するたびに少しずつその様相を変えていく。まるでこだまのような、奥行きのある空間的な音が放射状に展開されていくようだ。ノイズも相まって急に崩れる様なビートも不安な印象を倍加されていく。時に暴力的と評されるその音楽性も何となく納得がいく。暴力的といっても明確な攻撃性というよりは、ブリザードの向こうに霞む悪意をもった黒いタワーをかいま見る様な、そんな感じ。
個人的にはなんといってもしゃーーと堰を切って溢れ出し、空間を埋めていく様なホワイトノイズが格好よい。流れ出して来た水が静かに溜まっていく様なそんな清澄さとなにかしらの圧迫感をはらんだ焦燥感が相まってなんともいえない気持ちになってくる。
異常に研ぎすまされた冷たさだが、不思議と感情に富んでいる。それが安心を与えてくれはしないのだが。デカい音で聴くと気持ちよいことこの上なし!
とても良いアルバム。これはオススメ。
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