2014年2月11日火曜日

Cynic/Carbon Based Anatomy+Re-Traced

アメリカはフロリダ州のプログレッシブメタルバンドのEPを2つあわせた日本独自の編集版。
2011年にマーキー・インコーポレイティド株式会社からリリースされたようです。

Cynicはシニカルのシニックで意味は皮肉屋という意味だそうな。
その名の通りちょっと変わった経歴を持つバンドで1987年に結成。1993年に出したアルバム「Focus」はプログレッシブかつテクニカルなデスメタルというジャンルでは金字塔のような存在でその後のエクストリームミュージック界に多大な影響を与えたそうです。
その後解散や劇的な再結成(今回紹介するCDのライナーノーツによると離れていたメンバーが同じような夢を見たりしたんだそうです。)がありつつもコンスタントにアルバムを発表し続けております。ちなみに2014年2月中には新しいアルバムが発売予定。名前を聞いたことのある私は気になってとりあえずこの編集版を買ったという訳です。
2枚組で「Re-Traced」の方は彼らの2ndアルバム「Traced in Air」の曲を再構成してさらに新曲を1つ追加したもの。「Carbon Based Anatomy」の方は純粋な新曲を6つ収めたEPです。時期的には前者が2010年、後者が2011年にリリース。

まずかつてはデスメタルバンドでしたが、今作ではほとんどその要素はありません。
かなり透明感のあるプログレッシブなポストロックというのが分かりやすい音楽性の説明になるかも。
例えばブラストビートだったり、デスボイスもありません。基本ギターの音はミドルを強調した聴きやすいもので声はほとんどクリーンが主体。ボコーダーで有名なバンドらしく、結構ぼやぼやした独特のエフェクトはかけてますがメタルの禍々しさはないですね。
ジャズの影響はまだデスメタル前回であったころからあったようなのですが、今作でも結構聴いてとれます。ベースはかなりファットなブォンボコボコとしたような独特の千切れるような間がある弾き方でなるほどジャズっぽいかも?(私ほとんどジャズ知らないので結構間違っているかもしれません。)と思います。メタル基本突き進む音楽ですが、ちょっと独特の間があるんですよね。それもちょっとジャズっぽいと思いました。
アコースティックギターや民族音楽のリズム、女性のボーカルを大胆に取り入れているところはまさにプログレッシブの王道を行く感じで良いですね。とはいえ1曲の尺が長過ぎる訳ではないので難解な印象はあまりないです。すっと耳に入ってくるくせに、よくよく聴くとかなり凝ったことをしているんじゃないでしょうか。
個人的には本当にたまに歪んだギターのリフが挿入されていたりするところにデスメタルの余韻を感じられて面白いと思いましたね。

かつてはデスみたいな過激な音楽をやっていて現在はかなり透明度の高いロックを演奏しているというとAnathemaがぱっと思い浮かぶんですけど、こっちの方が皮肉屋だけあってちょっと一筋縄では行かない学者めいたところがあるという印象。向こうは光に向かっていくようなひたむきさがあるけど、こっちはちょっと謎めいた部分があるというか。
Anathema好きな人には聴き比べてもらいたいところ。

また日本版ということで歌詞の和訳がついているのですが、かなり独特というかこちらも結構難解で詩的なものになっているようです。哲学的というのか。解読するのもの面白いかも。

というわけでいまさら聴いてみたのですが、格好よかった。
もうすぐリリースされる新しいアルバムも買おうと決めたのでした。
まだの人は是非どーぞ。

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