someoneはsometimes言う。曰く地獄とはこの地上のことだった。いや正しくは地獄は仕事のことなのだ、私は言うだろう、特に最近のバージョンの私がだ。職場が地獄で不味かった。終わることがないような業務時間もそうだ。仕事は大体つまらないものだが、そのなかでも特に気が重い類のものがある。今回はそれがしんどい。深夜2時に翌日(当日)朝7時に偉い方々(どうして彼らは総じて早起きなのだろうか)に自分が詰められるための資料を作成するというのはなかなかどうしてテンションが上がりようのない仕事だ。空いた時間を寝て過ごすいうのも良い選択肢だが、寝て何かが発生することはない。私の人生に何もなくなるという恐怖感からライブに行くことにした。
Kruelty
昨今話題の東京のDepressive Hardcore。ちゃっかりでも音源は購入したのだが生で見たことはないので楽しみだった。爽やかな初夏なのに4人のメンバー全員が目出し帽を被るという容赦のないスタイル。始まってみればこれはデスメタルでは。ざっくざく刻むギター、地の底から響くような低音ボーカル、重苦しいリズムはドゥーミィなデスメタル。ただただ呆然とするのだが耳が慣れているとデスメタルにしては異常にシンプルじゃないか?と気がつく。偏執的に隙間を埋めるようなテクニカルなリフ。つんざくような高音ソロ。そのような装飾性がほとんどない。ひたすらミニマルにリフを刻んで行く。1分はどうしたって60秒だ。駆けぬけようが牛歩だろうが同じ60秒だ。Krueltyはこの空間をリフで分割して行く。なるほど執拗な正確さで等間隔に刻んで行く様はメタリックだがあまりにそっけない。引っ掛けるように進んで行くそれを聞いて思う「これはハードコアだな…」。そうこのつんのめるようなリズムはまさしくハードコア。モッシュパートを切り出してそれで曲を作りましたという態。まさしく邪悪。音的には大阪のsecond to noneに似ているが、こちらがもっとシンプルだ。その分執拗でなるほどDepressive。こうやって演奏中にこちらが気が付いていくようなバンド、良いですよね。
Runner
続いては大阪/京都のRunner。恥ずかしながらバンド名も知らない始末。
こちらも抜けの良い軽めのスネアが軽快な瞬間風速系ブラストビートがキレッキレのパワーバイオレンスバンド。落とすパートの頻度が非常に高く、ほぼほぼモッシュパートの合間合間にボーカルが入るのでは、というくらいのエゲツなさ。バンド名はまさに名を体を表すかのごとく遅いパートもしつこくなくてあっという間に駆け抜けていく。
ひたすら筋肉質そのスタイルから Fight it Otuに似ているかなと思ったが、日本語の歌詞や遅くも早くもないパートにジャパニーズスタイルのハードコアを感じてしまう。パワーバイオレンスというのはふざけているか、おっかないか、あるいはその両方なんだけど、このRunnerはシリアスでありつつもまっすぐな暑苦しさもあってそこがこういったジャンルでは結構珍しいのではと思った。やはり関西のバンドというのは独特のオリジナリティを持っているなあと再実感。
leech
続いては船橋パワーバイオレンス、leech。見るのは2回目か。ボーカルの方が丸坊主になっていて厳つさが増していた。
ギターが2本だがノイズ感がすごい。曲が始まる前からフィードバックノイズが垂れ流しでこちらも脳汁がドボドボ溢れてくる。曲が始まると流石に低音が目立つのだが、よくよく聞いているとその低音の裏には高音ノイズが渦を巻いている。(片方のギタリストはひたすら高音に徹しているのかもしれない。)いわば高音域と低音域を同時に抑えている音の厚みがあって、それが音の壁になっていてフロアにぶち当たってくる。気持ちが良いよ。もちろんコントロールはしているはずだが、このleechというバンドは全部の楽器を最大音量で鳴らしているかのような感じがしてひたすら煩い。楽器隊VSボーカルみたいになってそこの相克も面白い。ただし一つ前のRunnerに比べると圧倒的にこちらのが陰湿。高速から低速に移ってもいわゆるモッシュパートとは違う、もっとスラッジっぽい放心したような気怠い感じがしてもはや手の施しようの無い感じ。わかられてたまるかという病んだ雰囲気が不健康ですき。
Fight it Out
後半戦トップバッターは横浜パワーバイオレンスFight it Out。始まる前からフロアに緊張感漂ってきてすごいバンドだなあと。
ライブハウスの特徴なのかもしれないけどこの日は前見たときよりドラムより弦楽隊の音が前に出ているイメージ。(私がいた位置の関係もあるだろう。)このバンドは速度のコントロールがすごいと思っているので、今日はまたもっと混沌としたイメージで聴けて面白かった。とにかくなんでもありなジャンルの中でくっきりとした音のイメージを提供するバンドだなと改めて思った。とことん研ぎ澄まされた曲というのは、余計なパートが無いということだ。速いか遅いか、その中間はバッサリ切り捨てる。ただし短いながらも余韻を残すようなパートがあってそれがまた格好良い。ひたすら筋肉質で無骨だが、その分たまにある短いシンガロングパートが映えてくる。あえて誤解を恐れずにいうと非常にわかりやすいんだと思う。馴れ合いというわけではなくてわかる奴は乗ってこい、的な。そうなればフロアも当然盛り上がってくるわけで。短いMCにもそんな姿勢が表れているようでひたすらカッコよかった。
she luv it
続いては大阪のバンド。音源の数は少ないのだが結構その名を聞く機会が多く気になっていた。なかなか見れない関西のバンドということでこの日の目当てでもあった。
ステージにはギタリストが2人、それからベーシストが2人(一人はボーカル兼任)、ドラムが一人(この方は他のバンドの時からずっとフロアで楽しそうに踊っておりました。)という変則体制。
セッティングが終わった時点でフィードバックノイズがすごいよ。人もぎゅうぎゅう。曲が始まってみると大変ですよ。満員電車が急停車した時のような人の動き。さらには恐らくビールが飛んでくる。モッシャー同時多発テロなお祭り騒ぎなわけで、それもそのはずだって曲が全編モッシュパートなんだもの。ひたすら刻んできて、そこに低いボーカルが乗る。そういった意味では一番手Krueltyに似ているところがある。確かにデスメタリックなところもある。ただ形式は似ていても音の印象は結構違う。一つはこちらがハーシュノイズも生々しいロウさ(生々しさ)を備えていること。内側に掘り進めていくようなDepressiveさはこちらには無い。陰湿だが内向的というよりは外向的で外に外に放射していくような動きがある。ひどくブルータルだが、フロアは湧きに湧きモッシュは自然発生的。
Nervous Light of Sunday
最後は大森のハードコアバンド。最近出た2枚のEPがとにかくよかったので是非とも見たかった。ドラム、ベース、ギター2本に専任ボーカルという5人組。
前の5つのバンドに関してはスタイルは違えどだいぶ逸脱していたのだなとわかるな、というかっちりしたサウンド。メタリックさはサウンドの重たさ、ミュートを用いた弾き方によくよく表れている。リフの中での低音と高音の対比が目がさめるようにくっきりしている。これはニュースクールハードコアだ。メタリックなサウンドでもKrueltyとは異なって、重量感があっても突進力がある。ボーカルはほぼシャウトだがたまに呟くような歌い方をしていてそこが日本っぽい。ただメロディ性は皆無でそこらへんはギターリフで補う。といっても例えばトレモロのようなわかりやすいメロディ感はなくてかっちりとしたリフの中にエモさを感じ取るというマニアックさ。しかしリズミカルに構築されたガッチリしたリフに感情を見出すことのできる奇特な人たちもいるものだ。
この日6つのバンドが出演し、そのどれもがハードコアのバンドだった。それぞれに共通点がありながらも結果出ている音は全然異なり、聞けば聴くほどにわからなくなるのがハードコアなのかと思った。耳が爆音でやられているのが快感だ。完全にやられた感のあるshe luv itのT-シャツを買った。音に似合わずかわいい。
電波の届かない地下から出ると仕事関係のチャットが何件も届いていた。これが私の選んだ毎日なのだった。耳鳴りを引きずって京王線に乗る。ドアの開閉をアナウンスする徹底的に無機質な女性の声が、私は好きなのだった。楽しい時間でした。
2018年6月3日日曜日
2018年5月5日土曜日
xRepentacex/The Sickness of Eden
イギリス南東部のハードコアバンドの1stアルバム。2015年にCarry the Weight Recordsからリリースされた。
バンド名の前後に「x」がついていることからも分かる通り(ヴィーガン)ストレート・エッジのバンド。結成は2013年。音楽的にはニュースクール・ハードコア/フューリー・エッジに属する。ここのところフューリー・エッジかっこいいなと思ったのだが、最近感想を書いたArkangelやSentece、Reprisalなどはいずれもすでに解散しているバンドなので現行で彼らのスタイルを引き継いで活動しているバンド、ということでこの音源を買ってみた。
「エデンの病」というタイトルもそういう世界観も含めて引き継いでいることが分かってニヤリとしてしまうが、中身の方もまごうことなきフューリー・エッジ。ただこれも単にリバイバルというよりはかなりモダンな形にアップデートしている。メタル的な表現は何と言ってもSlayer直系と称される単音リフを中心に、さらにその周辺部にはよりメタリックな音を惜しげもなく配置。落とし所だけでなく、単音リフの後ろ側に単音にこだわらない低音ゴリゴリリフを入れているので圧倒的に迫力が増している。ニュースクールな悲鳴のような高音ハーモニクスも随所に配置していて、とにかくモッシーでいかつい。えぐい感じでゴロゴロいっているベースがなんともハードコア的。随所にその不穏な鎌首をもたげている。ボーカルは完全にハードコア・スタイルの喉をからして叫ぶ高音特化タイプ。
いいなと思うのはただ落とすだけでなくて、つまりモッシュパートのみが本番で曲の後の部分はただそこにも低くまでの前奏にすぎない、というパターンではなく、きっちり速いパートもえらくかっこいい。単音リフにブリッジ・ミュートをかませる中速パート、低速に落とし込むパートももちろん、高速で疾走するパートもきっちり練り込まれていて文句なしにかっこいい。
表現力を豊かにするためにメタルの要素を取り込んだ、とはよく聴くけどフューリー・エッジはシンプルかつ、あくまでもハードコアなのでここの混交が結構理想的なのではなんて思ってしまう。途中世界観を煽るインストを挟みつつ全8曲22分であっという間に終わってしまう。無駄な要素一切なし。あまりリフレインがなく、一直線に進んで終わっていくというのは、なるほどメタル的ではなくてハードコア的な要素なのかもと思った。
いかついハードコア聞きたいなら是非どうぞ。パワーバイオレンスとは全く違う野蛮さ。
バンド名の前後に「x」がついていることからも分かる通り(ヴィーガン)ストレート・エッジのバンド。結成は2013年。音楽的にはニュースクール・ハードコア/フューリー・エッジに属する。ここのところフューリー・エッジかっこいいなと思ったのだが、最近感想を書いたArkangelやSentece、Reprisalなどはいずれもすでに解散しているバンドなので現行で彼らのスタイルを引き継いで活動しているバンド、ということでこの音源を買ってみた。
「エデンの病」というタイトルもそういう世界観も含めて引き継いでいることが分かってニヤリとしてしまうが、中身の方もまごうことなきフューリー・エッジ。ただこれも単にリバイバルというよりはかなりモダンな形にアップデートしている。メタル的な表現は何と言ってもSlayer直系と称される単音リフを中心に、さらにその周辺部にはよりメタリックな音を惜しげもなく配置。落とし所だけでなく、単音リフの後ろ側に単音にこだわらない低音ゴリゴリリフを入れているので圧倒的に迫力が増している。ニュースクールな悲鳴のような高音ハーモニクスも随所に配置していて、とにかくモッシーでいかつい。えぐい感じでゴロゴロいっているベースがなんともハードコア的。随所にその不穏な鎌首をもたげている。ボーカルは完全にハードコア・スタイルの喉をからして叫ぶ高音特化タイプ。
いいなと思うのはただ落とすだけでなくて、つまりモッシュパートのみが本番で曲の後の部分はただそこにも低くまでの前奏にすぎない、というパターンではなく、きっちり速いパートもえらくかっこいい。単音リフにブリッジ・ミュートをかませる中速パート、低速に落とし込むパートももちろん、高速で疾走するパートもきっちり練り込まれていて文句なしにかっこいい。
表現力を豊かにするためにメタルの要素を取り込んだ、とはよく聴くけどフューリー・エッジはシンプルかつ、あくまでもハードコアなのでここの混交が結構理想的なのではなんて思ってしまう。途中世界観を煽るインストを挟みつつ全8曲22分であっという間に終わってしまう。無駄な要素一切なし。あまりリフレインがなく、一直線に進んで終わっていくというのは、なるほどメタル的ではなくてハードコア的な要素なのかもと思った。
いかついハードコア聞きたいなら是非どうぞ。パワーバイオレンスとは全く違う野蛮さ。
ラベル:
xRepentancex,
イギリス,
ニュースクール・ハードコア,
ハードコア,
メタルコア,
音楽
2018年4月15日日曜日
Reprisal/Boundless Human Stupidity
イタリアのメタルコアバンドの2ndアルバム。
2000年にGood Life Recordingsからリリースされた。
同名のイギリスのメタルバンドとは違ってイタリアのヴィーガン・ストレートエッジ・ハードコアバンド。1996年に結成し、2003年に解散済み。サブジャンルで言うところのフュリー・エッジに属するバンドで、先日感想を書いたベルギーのArkangelがかっこよかったので同じジャンルに属するバンド、ということでReprisalにたどり着いた。
余談なのだが、ここらへんのバンドの多くが音源をデジタルで販売していないような気がする。これは新品CDで購入できた。私が持っているのはボーナストラックが2曲入っている特殊ジャケットのもの。
スラッシュ・メタルバンドSlayerに影響された単音リフに、やはりメタルの影響色濃いイーヴィルなボーカルを載せた攻撃的なハードコア、言うまでもなくメタルとハードコアの融合という意味でメタルコアのことをフューリー・エッジ、エッジ・メタルというらしい。アルバムのタイトルは「果てしない人間の愚かさ」であるからやはり自己反省的で厳格なミリタントなバンドなのだろう。菜食主義で酒もタバコもドラッグも快楽目的のセックスもなし。現代社会の良さと言われるすべてに中指を立てるスタイル。
経験がある人ならわかってもらえるだろうが普通の人はあまり激しい音楽を聞かない。だから私も会社の人とかには面倒くさいので「デスメタル好き」とか言われてそれを甘んじて受けている。普通の人からすると激しい音楽というととりあえずデスメタルで、別にそれ以上の興味は持っていないから仕方がない。私も今はフュリー・エッジにハマっているんです、なんていわないし。なんでこんなことを書くのかというと、この手のジャンルを聞くとハードコアをハードコアたらしめるのは何なのか?と思うからだ。前述の通りリフもボーカルもメタルからの影響がでかいとしたらそれはメタルではないの?となる。前情報でメタルコアだと知っているからということもあるだろうが、ArkangelもReprisalもメタルっぽくはあれどやはりハードコアに聞こえる。
ドラムはよく叩くが曲の速度は中速くらい。それから単音リフも間にブリッヂミュートを挟んでいる。速さを追求してよどみなく突っ走る、もしくはザクザク刻んでいくというメタルの王道からは逸脱している。タイムラインにリフをわかりやすく分解したような変則的なメタルノームを聴いているような感覚で、やはり強烈にビート感(モッシュ感)を意識している。つまりあえて遅くしている。高速をスローモーションのように引き伸ばしていくドゥーミィなそれとは明らかに異なる。首を振る縦の動きではなく、合わせて体が揺れる横の動きだ。
Arkangelと比べると単音リフ意外の低音リフの頻度がかなり高く、鎧を着ているように堅固。吐き捨てるイーヴィルボーカルに低音咆哮も乗るので、より遅くより暴力的になっている。演奏はかっちりしていて、ミニマルなリフを振り回し一転してやや速度の乗る単音トレモロリフに突入、溜めのあるミュートを挟んだ単音リフに回帰、という流れ。
7曲目はツーバスにストレートなミュートリフを主体としたほぼメタルな曲なのでこの曲を聞くとフュリー・エッジらしさが明確に浮き彫りにされていて面白い。
ニュースクール・ハードコアというとなんとなく叙情派のイメージがあったけど、こういうクリーンボーカルやメロディを一切顧みない激しい音楽があるのかと思うと面白い。
2000年にGood Life Recordingsからリリースされた。
同名のイギリスのメタルバンドとは違ってイタリアのヴィーガン・ストレートエッジ・ハードコアバンド。1996年に結成し、2003年に解散済み。サブジャンルで言うところのフュリー・エッジに属するバンドで、先日感想を書いたベルギーのArkangelがかっこよかったので同じジャンルに属するバンド、ということでReprisalにたどり着いた。
余談なのだが、ここらへんのバンドの多くが音源をデジタルで販売していないような気がする。これは新品CDで購入できた。私が持っているのはボーナストラックが2曲入っている特殊ジャケットのもの。
スラッシュ・メタルバンドSlayerに影響された単音リフに、やはりメタルの影響色濃いイーヴィルなボーカルを載せた攻撃的なハードコア、言うまでもなくメタルとハードコアの融合という意味でメタルコアのことをフューリー・エッジ、エッジ・メタルというらしい。アルバムのタイトルは「果てしない人間の愚かさ」であるからやはり自己反省的で厳格なミリタントなバンドなのだろう。菜食主義で酒もタバコもドラッグも快楽目的のセックスもなし。現代社会の良さと言われるすべてに中指を立てるスタイル。
経験がある人ならわかってもらえるだろうが普通の人はあまり激しい音楽を聞かない。だから私も会社の人とかには面倒くさいので「デスメタル好き」とか言われてそれを甘んじて受けている。普通の人からすると激しい音楽というととりあえずデスメタルで、別にそれ以上の興味は持っていないから仕方がない。私も今はフュリー・エッジにハマっているんです、なんていわないし。なんでこんなことを書くのかというと、この手のジャンルを聞くとハードコアをハードコアたらしめるのは何なのか?と思うからだ。前述の通りリフもボーカルもメタルからの影響がでかいとしたらそれはメタルではないの?となる。前情報でメタルコアだと知っているからということもあるだろうが、ArkangelもReprisalもメタルっぽくはあれどやはりハードコアに聞こえる。
ドラムはよく叩くが曲の速度は中速くらい。それから単音リフも間にブリッヂミュートを挟んでいる。速さを追求してよどみなく突っ走る、もしくはザクザク刻んでいくというメタルの王道からは逸脱している。タイムラインにリフをわかりやすく分解したような変則的なメタルノームを聴いているような感覚で、やはり強烈にビート感(モッシュ感)を意識している。つまりあえて遅くしている。高速をスローモーションのように引き伸ばしていくドゥーミィなそれとは明らかに異なる。首を振る縦の動きではなく、合わせて体が揺れる横の動きだ。
Arkangelと比べると単音リフ意外の低音リフの頻度がかなり高く、鎧を着ているように堅固。吐き捨てるイーヴィルボーカルに低音咆哮も乗るので、より遅くより暴力的になっている。演奏はかっちりしていて、ミニマルなリフを振り回し一転してやや速度の乗る単音トレモロリフに突入、溜めのあるミュートを挟んだ単音リフに回帰、という流れ。
7曲目はツーバスにストレートなミュートリフを主体としたほぼメタルな曲なのでこの曲を聞くとフュリー・エッジらしさが明確に浮き彫りにされていて面白い。
ニュースクール・ハードコアというとなんとなく叙情派のイメージがあったけど、こういうクリーンボーカルやメロディを一切顧みない激しい音楽があるのかと思うと面白い。
2018年2月12日月曜日
STATE CRAFT/TO CELEBRATE THE FORLORN SEASONS
日本は東京のハードコアバンドの1stアルバム。2000年にGood Life Recordsingsからリリースされた。STATE CRAFTは1995年に結成されたバンドでデモやスプリットなど音源の数はかなりあるようだがアルバムはこの1枚のみ。いろいろなところで名前を聞くバンドで普通に新品で売っていたので買った次第。
「孤独な季節への祝福」と題された今作。ニュースクール・ハードコアの名作と聴いていたがアートワークはおそらく聖書のノアの洪水に題を取った宗教画で飾られているのが意外だった。再生してみると1曲め「Ecliptic Horizon」はなんともエピカルなインストで驚く。どうもハードコアではこういったキリスト教的なモチーフを好んで用いる動きがあったようだ。メンバーにはストレート・エッジの方が含まれるようだがおそらくクリスチャン・ハードコアではないと思う。
2曲めが始まるとザクザク刻んでくるメタリックなギターに力強く絞り出すようなボーカルが乗るハードコアだ。ガッチガチにソリッドにして一部の中音域を完全に振り捨てたようなベースが伝統的なハードコアスタイルを彷彿とさせる。ボーカルもやや憂いを含んだ日本独特のものなのだが、あくまでもタフで例えばnaiadのようにそこから激情方面に進んでいくような”迷い”が見られないのがよい。あちらはあちらで超格好いいが、こちらはあくまでもニュースクール・ハードコアだ。迷うより先にまず体を動かすのだ。演奏の方も巨大なハンマーをぶん回すかのような重量感で、ブリッジミュートを用いた緩急のあるリフでハードコア特有の”はずみ”のあるリズムを作っていく。疾走するところは走り(といっても基本激速はなくて中速よりやや速いくらい)、それから一点速度を落とし込んでいくブレイクダウン。要するにモッシーなハードコアでなるほど徹頭徹尾筋肉質でタフであるけど、同時に非常にメロディアスだ。全編これメロディアスと言っても良い。一時期隆盛を誇った売れ筋メタルコアのようにクリーンボーカルで激甘なサビをつけるのではもちろんなくて、演奏、具体的にはギターが非常にメロディアスなのだ。ギターが歌うタイプでやり方的にはブラック・メタルにおけるトレモロギターみたいな。もちろんこちらはトレモとは全然使わなくて、代わりにハードコアのパーツを分解してそれを一つずつ丹念に磨き上げていく。メロディに振りすぎると軟弱になってしまいがちなところをまさに職人技で持ってタフさを一切失わずに絶妙なバランスでメロディ性を混ぜ込んだ、まるで混ぜることで美しい刃紋を浮き上がらせる合金で作った日本刀のような鋭さ。結果的にモッシーだけど非常にエモーショナルなニュースクール・ハードコアが出来上がる。なるほどニュースクールといえばPoison the WellやShai Huludのような叙情派という言葉が思い浮かぶ。私は全然詳しくないけど例えば前述の2つのバンドに比べるとこのSTATE CRAFTはちょっと異なっていて面白い。メロディアスかつ短いギターソロなんかはこの間感想を書いたFinal Sacrificeみたいだが、あそこまでくどくはない感じ。すべてがコンパクトに纏められている、というのはあくまでもハードコアで勝負という気負いを感じる。
海外で生まれたハードコア・パンクという音楽が日本でジャパニーズ・ハードコアという独自のジャンルを生み出したように、ニュースクールの分野でもひょっとしたら日本独自のものが育っていったのかなと思う。例えばenvyが旗を振る激情方面がそうかと思っていたのだが、もっとこうピュアでタフなニュースクール方向の輝かしい未来もきっとあったのでは。(シーン自体はもちろん今もあります。)残念ながらSTATE CRAFTはこのアルバムを出した後活動を休止してしまった。残念。
6曲目「Forever Yours」からの流れが個人的には大変すきだ。新品で買えて幸運だった。非常に格好いい音源。おすすめ。
「孤独な季節への祝福」と題された今作。ニュースクール・ハードコアの名作と聴いていたがアートワークはおそらく聖書のノアの洪水に題を取った宗教画で飾られているのが意外だった。再生してみると1曲め「Ecliptic Horizon」はなんともエピカルなインストで驚く。どうもハードコアではこういったキリスト教的なモチーフを好んで用いる動きがあったようだ。メンバーにはストレート・エッジの方が含まれるようだがおそらくクリスチャン・ハードコアではないと思う。
2曲めが始まるとザクザク刻んでくるメタリックなギターに力強く絞り出すようなボーカルが乗るハードコアだ。ガッチガチにソリッドにして一部の中音域を完全に振り捨てたようなベースが伝統的なハードコアスタイルを彷彿とさせる。ボーカルもやや憂いを含んだ日本独特のものなのだが、あくまでもタフで例えばnaiadのようにそこから激情方面に進んでいくような”迷い”が見られないのがよい。あちらはあちらで超格好いいが、こちらはあくまでもニュースクール・ハードコアだ。迷うより先にまず体を動かすのだ。演奏の方も巨大なハンマーをぶん回すかのような重量感で、ブリッジミュートを用いた緩急のあるリフでハードコア特有の”はずみ”のあるリズムを作っていく。疾走するところは走り(といっても基本激速はなくて中速よりやや速いくらい)、それから一点速度を落とし込んでいくブレイクダウン。要するにモッシーなハードコアでなるほど徹頭徹尾筋肉質でタフであるけど、同時に非常にメロディアスだ。全編これメロディアスと言っても良い。一時期隆盛を誇った売れ筋メタルコアのようにクリーンボーカルで激甘なサビをつけるのではもちろんなくて、演奏、具体的にはギターが非常にメロディアスなのだ。ギターが歌うタイプでやり方的にはブラック・メタルにおけるトレモロギターみたいな。もちろんこちらはトレモとは全然使わなくて、代わりにハードコアのパーツを分解してそれを一つずつ丹念に磨き上げていく。メロディに振りすぎると軟弱になってしまいがちなところをまさに職人技で持ってタフさを一切失わずに絶妙なバランスでメロディ性を混ぜ込んだ、まるで混ぜることで美しい刃紋を浮き上がらせる合金で作った日本刀のような鋭さ。結果的にモッシーだけど非常にエモーショナルなニュースクール・ハードコアが出来上がる。なるほどニュースクールといえばPoison the WellやShai Huludのような叙情派という言葉が思い浮かぶ。私は全然詳しくないけど例えば前述の2つのバンドに比べるとこのSTATE CRAFTはちょっと異なっていて面白い。メロディアスかつ短いギターソロなんかはこの間感想を書いたFinal Sacrificeみたいだが、あそこまでくどくはない感じ。すべてがコンパクトに纏められている、というのはあくまでもハードコアで勝負という気負いを感じる。
海外で生まれたハードコア・パンクという音楽が日本でジャパニーズ・ハードコアという独自のジャンルを生み出したように、ニュースクールの分野でもひょっとしたら日本独自のものが育っていったのかなと思う。例えばenvyが旗を振る激情方面がそうかと思っていたのだが、もっとこうピュアでタフなニュースクール方向の輝かしい未来もきっとあったのでは。(シーン自体はもちろん今もあります。)残念ながらSTATE CRAFTはこのアルバムを出した後活動を休止してしまった。残念。
6曲目「Forever Yours」からの流れが個人的には大変すきだ。新品で買えて幸運だった。非常に格好いい音源。おすすめ。
ラベル:
STATE CRAFT,
ニュースクール・ハードコア,
ハードコア,
音楽,
日本
2017年8月13日日曜日
Disembodied/Psalms of Sheol
アメリカ合衆国ミネソタ州ミネアポリスのハードコアバンドの編集版。
2009年にPrime Directive Recordsからリリースされた。
Disembodiedは1995年に結成され二枚のフルアルバムといくつかのEPやスプリットをリリースし、1999年には解散。その後再結成をしたようだが現状はやはり解散状態のようだ。メンバーは二つの異なるバンドに分かれて活動している。
「黄泉詩篇」と題されたこの音源はアルバムには未収録の音源をあつめたもの。気になっているバンドだったのだが、直近手に入りやすい(どうもその他の音源はプレミア化しているようだ)のがこちらだったので手っ取り早く新品で買って見た。Disembodiedはこの音源で初めて聞く。
大胆に黒魔術をあしらったアートワークからわかるように音的にも大胆にメタルの要素を持ち込んだハードコア。いわゆるメタリック・ハードコア、ニュースクール・ハードコアに属する音でザクザク刻む音に吐き捨て型のボーカルが乗っかるハードコア。ハードコア生まれの強面なリズム感にメタル譲りの黒く重たい要素がいい具合に組み合わさっている。このバンドはハードコアというにはかなり陰鬱で、オールドスクール・ハードコアの気持ちの良い明快さがほぼ皆無なのが面白い。ミドルテンポを主体に重苦しい雰囲気で進行し、ここぞって時にさらに速度を落としたりする。ダミ声ではなく結構艶のある声は吐き捨てシャウト以外にも、ダウナーな雰囲気のつぶやきからクリーンボーカルでのメロディのある節回しなどもこなすが、隆盛を極めたメタルコアスタイルのゴリゴリ演奏から一点甘ったるいメロディアスなサビを乗せるきらびやかな手法とは無縁なのが良い。曲はだいたい3分から4分くらいで冗長なパートには一切時間を割かない。単刀直入なのはいかにもハードコア的であって、変な飛び道具を使わず重量感がありつつも輪郭がやや潰れたギターの音は個人的にとても好みだ。ソリッド過ぎないのが良い。音的にもほぼほぼ低音のミュートを多用したリフに特化しており、つんのめるようなリフはスピード感をあえて殺すことでハードコア的なグルーブが生まれている。陰鬱な世界観ながらもあくまでも体を動かすハードコアとして成り立っている。
ラストはMetallicaのカバーを披露している。
こりゃかっこいい。メタリックさと黒い雰囲気で持って表現の幅をグッと広げているが、その実徹頭徹尾どこまで言ってもハードコアなのだ。個人的には電子音を使わないのにインダストリアルな雰囲気も感じられる「Scratch」が非常に好み。見つけたら是非どうぞ。
2009年にPrime Directive Recordsからリリースされた。
Disembodiedは1995年に結成され二枚のフルアルバムといくつかのEPやスプリットをリリースし、1999年には解散。その後再結成をしたようだが現状はやはり解散状態のようだ。メンバーは二つの異なるバンドに分かれて活動している。
「黄泉詩篇」と題されたこの音源はアルバムには未収録の音源をあつめたもの。気になっているバンドだったのだが、直近手に入りやすい(どうもその他の音源はプレミア化しているようだ)のがこちらだったので手っ取り早く新品で買って見た。Disembodiedはこの音源で初めて聞く。
大胆に黒魔術をあしらったアートワークからわかるように音的にも大胆にメタルの要素を持ち込んだハードコア。いわゆるメタリック・ハードコア、ニュースクール・ハードコアに属する音でザクザク刻む音に吐き捨て型のボーカルが乗っかるハードコア。ハードコア生まれの強面なリズム感にメタル譲りの黒く重たい要素がいい具合に組み合わさっている。このバンドはハードコアというにはかなり陰鬱で、オールドスクール・ハードコアの気持ちの良い明快さがほぼ皆無なのが面白い。ミドルテンポを主体に重苦しい雰囲気で進行し、ここぞって時にさらに速度を落としたりする。ダミ声ではなく結構艶のある声は吐き捨てシャウト以外にも、ダウナーな雰囲気のつぶやきからクリーンボーカルでのメロディのある節回しなどもこなすが、隆盛を極めたメタルコアスタイルのゴリゴリ演奏から一点甘ったるいメロディアスなサビを乗せるきらびやかな手法とは無縁なのが良い。曲はだいたい3分から4分くらいで冗長なパートには一切時間を割かない。単刀直入なのはいかにもハードコア的であって、変な飛び道具を使わず重量感がありつつも輪郭がやや潰れたギターの音は個人的にとても好みだ。ソリッド過ぎないのが良い。音的にもほぼほぼ低音のミュートを多用したリフに特化しており、つんのめるようなリフはスピード感をあえて殺すことでハードコア的なグルーブが生まれている。陰鬱な世界観ながらもあくまでも体を動かすハードコアとして成り立っている。
ラストはMetallicaのカバーを披露している。
こりゃかっこいい。メタリックさと黒い雰囲気で持って表現の幅をグッと広げているが、その実徹頭徹尾どこまで言ってもハードコアなのだ。個人的には電子音を使わないのにインダストリアルな雰囲気も感じられる「Scratch」が非常に好み。見つけたら是非どうぞ。
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