2018年3月18日日曜日

Morgue Side Cinema/mud,light,exit,water

日本は大阪のパンク/ロックバンドの3rdアルバム。
2018年にCH CARGOからリリースされた。
明らかにグラインドコアバンドNapalm Deathをもじった前作「Napalm Life」から13年。正直もう出ないのではという新作がついに。1997年に結成され、Number Girlとも共演したというバンド。とにかく前作は素晴らしく感想を書いたのはもう〜年前だが、それ以来事ある毎に聞いている。メロディが特徴で歌詞も日本語だからついつい口ずさんだりしちゃうのだ。

Morgue Side Cinemaは結構無愛想なバンドで、こんなこと言うのもあれだが華がない(これは前作収録の曲の歌詞にも出てくる)。妙にこぶしの効いたような歌いまわしは全然おしゃれじゃないし、なんなら英語の歌詞は本当日本語的なべったりとした発音だし。曲は短いけど、早いわけでも、逆に遅いわけでも、攻撃的なわけでも、必要以上に重たいわけでも、トレモロが美しいわけでも、ギターソロが超絶技巧なわけでも、展開がプログレッシブなわけでも、モッシュパートが激しいわけでも、ハーシュノイズを使うわけでも、ない。要するにとらえどころとなるキャッチーさがないんだけど、断言するが曲は素晴らしい。ただ無闇矢鱈にわかりやすいキャラづくりをしないだけなのだ。(それこそが知名度を売るビジネスでは致命的なのかもしれないがそんなことは知ったことではない。無いということそれ自体が魅力になることだってあるのだ。)
Leatherfaceに通じる哀愁と書いてあるところがあって、Leatherfaceは「he Stormy Petrel」の1枚しか持ってないので偉そうなことは言えないのだけれど「哀愁」という共通点はあるもののこちらはあちらほど(意図的に)枯れた感じがしない印象。どの楽器も無駄を削ぎ落としたソリッドな音使いでいぶし銀な格好良さがあるが、なかでもとにかくギターが良い。短い曲の中を縦横無尽に動き回る。中音域が分厚い、重量感と温かみのある音が自由に伸縮性のある音を描いていく。真っ青な空に伸びていく飛行機雲を地上から眺めているようにひたすら爽快である。高高度の強風に崩れてすぐ消えがちだが、群青に一本ひいた線のように痛快である。だれも傷つけないなにかしらの反逆行為のようではないか。ギターが唸って、力強い歌がある。私がロックバンドに求めるものが揃っている。こうしてくれ!ってのが入っている。しなやかだが強靭、強靭だが叙情的である。

わかるようでわからない、わからないようでわかる歌詞(曲によって結構具体的だったりもする。親交のあるった先輩を偲ぶ「翌朝」の後半の川のきらめきに決意を込める歌詞は本当素晴らしい。)が特徴的で、今回はその難解さを増しているように思う。わからないなりに文章として成り立っていた前作から、今作では単語の羅列にまで分解されている。TMGEのチバユウスケほど本当思いつきを並べたようなのではなく、一応関連性はある何かの比喩のように感じられる。

2月頭に東京でライブをやったんだけどその日は珍しく用事があって見れなかったのを後悔している。マイペースに活動するバンドのようなのできっとまた見る機会があるだろうと思うことにする。1stも噛みしめるように訊いていくうちにどっぷりハマっていったのだが、今作もそう。今作はちょっと地味か?と思ったけど聞けば聞くほど味が染み出してくるように良い。今聴いているし、きっとまた1年経っても聴いているだろう。ぜひぜひCDを手にとっていただき聴いていただきたい作品。非常におすすめ。

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