1994年にNew Age Recordsからリリースされた。
いわゆる名盤とされるアルバムで中古でほしいなと思っていたが、調べたら普通にBandcampで買えてしまうことがわかり買ってみた次第。
Unbrokenは1991年に結成されたバンドで2枚のアルバムをリリース後、1995年に解散。その後再結成と中断を繰り返し、現在はまた活動をしているようだ。wikiによると少なくとも活動当初はストレート・エッジの思想を持っていたようだ。
”メタルコア”と称されることもあり、かなりガッチリしたハードコアをプレイしている。オールドスクールなハードコアパンクがその持ち味としている「速さ」の要素にあっさり見切りをつけて、代わりにどっしりとした中速にメタルから持ち込んだテクニカルかつ重厚なリフを持ち込んでいる。はじめの印象はかなり複雑な曲をやるのだなという印象。かなり金属質な音だが、大仰に広がらずに非常に筋肉質な音をだすのだが、ただただウサを晴らすように暴れるための楽曲というよりは、展開もリフも種類が豊富な叙情的なもの。この場で叙情的というのは、クリーンで歌メロが入るとか、アルペジオや浮遊感のあるシンセサウンドの導入とかではまったくなく、むしろ頭から爪先まで攻撃的で無骨なハードコアなのだが、その表現力が多様であるということだ。ニュースクールなのだが、いわゆる”カオティック”と称されたバンドに通じるところがある。それはハードコアであることにこだわって、その限界に挑戦するかのような、ただ速く(逆にただ遅く)、ただ激しく、とはべつのアプローチである。The Dillinger Escape PlanもConvergeという2大巨頭もカオティックと称されたが、どちらのバンドもやや他ジャンルに足をかけていた(初めからジャズを巻き込んだTDEPはわかりやすくそうだし、Convergeはアルバム単位でみると結構面白い変遷をしていると思う。「Jane Doe」だけ浮いているのかな??)ように思えるのだが、このUnbrokenに関してはそういった浮気心はなくあくまでもハードコアのみで勝負している。そういった意味では求道的でそれでいて保守的にならずに挑戦的だ。
「生活、愛、後悔」というタイトルは要するに日常のことだと思う。ハードコアというのはリアルであること、というのが一つあるなと最近思うのだが(だから思想的にはヒップホップに通じるところがある。要するにカウンターカルチャーということだろうか。)、このUnbrokenに関してもおそらくそういった姿勢で活動しているのだろう。ハードコアの曲の中にそういった日常の事ごとが透けて見えるようで、そういった意味で非常にエモーショナルだ。エモーショナルというのはただ感情を表に出せばよいというのではない。泣いている人だけが悲しいわけではないように、無骨なハードコアの欧州の向こう側に豊かな感情が垣間見えるアルバム。まだ聞いたことが無い人は是非どうぞ。
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