2016年9月11日日曜日

SECT/SECT

アメリカ合衆国ノースカロライナ州ローリー、同じくオレゴン州ポートランド、カナダのトロントの混成バンドの1stアルバム。
2016年に発表された音源で私は日本のレーベルALLIANCE TRAXから購入。CDというフォーマットではこちらからのみとこと。Bandcampでも買えるみたい。
複数のエリアの混成バンドという事でわかるかもなんだが、いわゆるスーパーバンドというやつで名だたるバンドで活躍するメンバーが集まって2015年に結成された。
ボーカルがChris Colohan (Cursed, Burning Love)、ギターが Scott Crouse (Earth Crisis)とJames Chang (Undying, Catharsis)、ベースがIan Edwards (Earth Crisis)、ドラムがAndy Hurley (Fall Out Boy)。私はボーカル目当てで購入。他のバンドは申し訳ないが聴いた事ない、と思ったらFall Out Boyは会社の先輩からCD借りた事ある。有名なバンドだと思うんだけど音楽性はポップなパンクでこの面子だとちょっと違和感がある。調べてみたらFall Out Boy以外でもEnablerとか、ガッチリアンダーグラウンドでも活動している人のようだ。見た目も入れ墨ばっちりで恐ろしい。

ジャンル的にはメタリックなハードコアパンク/クラストコア。音的には近代的でクリアなものにばっちりアップデート済みでモダンだが、そんな音で演奏するのは正攻法で突き進む飾りっけのあまりないハードコア。パワーバイオレンスでもビートダウンでもないが新旧色々な音を飲み込んで伝統に敬意を払いつつ自分たちなりの音を模索している印象。
全部で10曲を16分で駆け抜ける。
速度のコントロールが抜群に上手いバンドで短い曲の中で曲のスピードが結構変わる。一番分かりやすいのはバスドラムの連打がもはやえげつない高速パートだが、ためのある低速も勿論カッコいい。ギターは明快なもののメタルの影響を大きく受けて結構音の数が多い。ミュートを多用したメタリックなものから、ハードコア影響かの荒々しいトレモロまで、ギタリストも二人いるのでその表現は実に多彩。なんといっても独特のしゃがれ声で言葉を吐き出していくボーカルが良い。Burning LoveもCursedも好きだが、なんというかドロップアウトしそうでギリギリ踏みとどまっている様な危うさと悲壮さがあってとても良い。
自分だけかもしれないが2曲目「Death Dealer」のイントロはcarcassの超有名曲「Genital Grinder」のそれにちょっと似ているかもと思う。色々なバンドがカバーしている曲だし、ハードコアからデスメタルへの敬意表明ではないかと勝手に思っている。
個人的にはギターがうねうね動いてちょっとブラックメタルっぽさもある6曲目「All or Nothing」が好き。タメのあるイントロ、突き進む中盤、また速度を落とす後半と、このバンドの良さが短い中にもぎゅっと詰まっている。

ちなみにヴィーガン&ストレート・エッジなバンドである。マジでハードコア。ここでいうハードコアというのは敢えて厳しい道に進む、というよりは確固たるポリシー(つまり明確な意志を持ってやるべき事と逆に断じて許せないので絶対やらないこと、その両方)があるという事だ。言うは易し行うは難し。言葉と音楽でアジテートするバンドだが、決して言葉だけにはならないのだろう。
バンドメンバーに引っかかる人は買ったら楽しめる事請け合いだと思う。

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