2014年5月10日土曜日

Floor/Oblation

アメリカはフロリダ州マイアミ(行ってみたいね、マイアミ。)のドゥーム/ストーナーロックバンドの3rdアルバム。
2014年にSeason of Mistから。私が買ったのはボーナストラックが追加された御馴染みDaymare Recordingsからリリースされた日本版。

Floorといえば重たい演奏にポップなメロディをのせるストーナーロックバンドTorcheのギターボーカルSteve Brooksが組んでいたバンドとして結構有名なのかな?2004年に解散していているのだが、2010年にはなんと8枚組の編集版がリリースされたりして結構(狭い)世間をにぎわせていた印象。そんな彼らだから2013年に再結成、そして翌年ニューアルバムリリースというのは待望という感じなのかも。

私は前述の編集版「Below&Beyond」しか聴いていないのだけど、クッソ重い演奏、かなり実験的と行っていいほど孤高な音楽性、そして曲によってはたまにきらりと光るメロディアスさという印象で、Torcheに比べると取っ付きにくいのだが、その後の片鱗が垣間見える様な作風でとても気に入りました。中でも「Tales of Lolita」という曲は何ともいえない切ないメロディラインがたまらなくてかなりお気に入り。

今回の新作ではオリジナルアルバムとしては10年ぶりとなるわけだけど、少なくとも音楽性にそこまでのぶれは無いと思う。
3人組だがドラムにギターが2人でベースレスというやや特殊な布陣。やはりTorcheに比べると音楽的にはもう少しハードという感じで、重いギターリフがまるで鈍器のようだ。重い低音がぐーんと伸び、そしてズブっと停滞する様な独特乗りリズム感がたまらない。余韻を残して残る音がとにかく格好いい。ドラムはバスドラが重々しい反面、乾いたタムとシンバルが曲にすごい緊張感を与えているように思う。たまに疾走するパートは速さ自体はそこまでではないけど、ずっしりかつ開放感があって良いブレイクになっている。
Steve Brooksの声は相変わらずクリーンというか澄んだ独特の声質で非常に伸びやかに歌う。この演奏に容赦のないデス声を乗っけたらそれはそれで格好いいのだが、なんといってもFloorの魅力はこの声とメロディラインではなかろうか。解説で山崎さんも書いているが、Torcheでの経験を生かして曲によってはかなりポップだ。壮快といっても良いくらい。逆にこんな重い演奏にこの歌声をのせる訳だから相当捻くれているとも思える。曲が比較的短めなのも良い。音の作りはまさに鋼鉄だが、演奏がハードコア由来思わせる開放感のあるもので密室的なメタルの雰囲気がそこまで無いのも聴きやすさの一因かもしれない。

劇的に重たく実験的な楽曲にポップなメロディをのせるという、この両極端を綱渡りのように優れたバランス感覚でスイスイと歩き回る様はなかなかどうして簡単なようで唯一無二ではなかろうか。
かゆいところに手が届くというか、これこれこういうの欲しかったんだよね、という要望にきっちりハマる良いアルバム。

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