2004年に日本のVapからリリースされた。
ジャケットは是枝裕和監督の「誰も知らない」のワンシーンの画像。全7曲収録でその中の1曲「宝石」が前述の映画の挿入歌になっており、タテタカコ自身も出演しているらしいが、私は映画は見ていない。
なんで買ったかというと、私の大好きなバンドで日本は大阪を拠点に活動するBirushanahというバンドがあるのだが、彼らがちょうど昨日(2014年5月5日)大阪で汁ソニックなるイベントを開催。関東に住む私は行きたいな〜とぼんやり出演者などを眺めていると「タテタカコ」の名前があった訳である。汁ソニックは前述の和風スラッジBirushanahを始め、ラディカルな青春パンクの下山だったり、超ダークいフォーク歌手友川カズキだったり、ジャンルは違えど中々濃いい面子であるから、なんだか女性のシンガーというとそれだけで異彩を放っている訳で何となく気になったので前述の「宝石」をyoutubeで視聴したら、これがまあ格好よくて今回このCDを買ったという訳だ。
タテタカコはピアノを弾いて歌う弾き語りスタイルで、このミニアルバムに収められている7曲に関してもほぼほぼ全編ピアノと歌がメインに据えられている。他の楽器も登場するがあくまでもメインを引き立てるくらいの役割くらいだ。
ピアノにしても技巧自慢で弾きまくる訳ではないから、曲の中心には歌があるってことになる。
伸びやかな歌声でとにかく良く歌う。女性らしく透明感もあるのだが、お腹から歌う様な力強さがあって、一見儚さとは無縁だ。息継ぎの音も生々しく、録音状態がいいのか耳元で歌っている様な迫力があって、なるほどノイズやエフェクトにまみれた音楽ばっかりきいているからか、たまにこういう音楽を聴くと妙に新鮮でよい。
この人は声量もきっとあるだろうから、歌い方もあってエネルギーに見ているのだが、好みにアルバムに収められているのはほぼほぼバラードといってもよい曲調だと思う。歌声は力強いのに、どうしてこんなに切ないのかはさっぱり分からない。こればっかりは謎であって、一見儚くはないのに、声はでかいのに今にもどこかに溶けてしまう様な物悲しさがあって、これは訳が分からない。無駄話をしていて振り返ったらもういなくなっているんじゃないか、という妙に恐い感じもして、そこがたまらない。
思うに感情というのは色々な込め方があって、それは形式にこだわらず結構人の心に刺さるものなのかもしれない。そもそも感情に喜怒哀楽を始めとして名前を付けるのが間違っているのかもしれない。あまりにそれは対象を限定してしまう。私たちの思ったことは、もうちょっともやもやと訳が分からない何かなのかもしれない。
とにかくそういったものがストレートに伝えるには、でかい音や沢山の楽器が必ずしも必要ではなく、時にはちょっと邪魔にすらなるのかもしれない。このCDに収められている楽曲の中のピアノの何と饒舌なことか。
というわけでとても良かった。バンドサウンドが虚飾にまみれた戯れ言だとは勿論いわないが、だからといって対極にある様な楽曲が悪いはずが無い。
まあちょっと聴いてみてくださいよ。
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