2014年1月11日土曜日

Corrections House/Last City Zero

アメリカのスラッジメタルバンドの1stアルバム、
2013年にNeurot Recodingsからリリースされた。

聞き慣れないバンド名だが、新人ではない。そうそうたるメンツでボーカルがEyehatetgodのMike、ギターとボーカルがNeurosisのScott、サックスとボーカルがYakuzaのBruce、ドラムとプログラミングがMinskのSanford。
要するに界隈の超名人が集まったスーパーバンドな訳。最近のスーパーバンドというとIsisやConverge、Cave InのメンバーらのOld Man Gloomがぱっと思い浮かぶけど、あちらはひねくれてはいたけど比較的まっすぐなスラッジナンバーをプレイしていた。こちらはメンツを見るにひねくれているというよりはかなり凶悪なメンバー(顔からして恐いよ。ちなみに私はMinskだけは聴いたことがないんだよね…)だから音の方はというと、これはちょっとすごいものになるぞ、という期待が高まるわけです。

さてこれを聴いてみるとやっぱり基本はドゥーム/スラッジメタルになるんだけど、やはりというかなんというか大分一筋縄では行かない音楽性になっております。
元はNeurosisの最新作を思わせるようなちょっと物悲しさ強めなドゥームメタル。派手さはないんだが、間を意識した作曲で大胆に静かなパートも導入するし、いぶし銀な聴かせる作りになっております。ここまではうんうんと頷くところなんだが、何を思ったのかここからさらにそこらへんのインダストリアルバンドが裸足で逃げ出すようなノイズ成分をぶち込んできたんだよね、彼らは。今まで憂いのある感じでしっとりやってたじゃないですかーと言いたいんだが、そんな予定調和いらんわいとばかりに、ノイズにまみれたハードコア成分強めのボーカル、工事現場かと思うほどの金属質のノイズ、ドスの利きすぎたボーカルを次々に繰り出してくる。見る見るうちに曲のテンションがあがってきて気づくととんでもない音風景が広がっているという寸法。
兎に角曲展開が凄まじく、うううるせーと思っていたら急に虚脱したようなドローンパートに突入したりと、情緒不安定さとそのカメレオンばりの変化のグラデーションがひたすら楽しい。
ボーカルも3人が担当しているので、バリエーションというか一人一人に味があっていい。なかでもやっぱりMikeのボーカルはすげえなあ。Eyehategodより歌っている感もあるボーカルパートが結構入っているのだけど、なんだかすごい味がある。普段切れている奴があれ、こんなにいい声してたのかい、という驚き。
静と動、殺気と倦怠を絶妙にブレンドした音作りで、ただヤバいというのではなく、何とも言えない疲れた憂いのようなものがアコースティックギターだったり、サックスだったりの音の向こう側に透けて見えて何とも深みのある音楽性になっている。

所謂名のある人たちが集まってこんなに尖った音を出せるというのがすごい。さすがというべきか。全然日和ってねえなと、殺気に満ちあふれているなと。

個人的には殺す気満々の曲も気に入ったのだが、何と言ってもアルバムのタイトルにもなっている静かなナンバーが滅茶苦茶気に入った。
スポークンワードというか、ポエトリーリーディングというか、つま弾かれるギターに合わせてMikeがぽつぽつと詩をつぶやく何だけどこれがもう!もう!なんでかわからんがぐっとくる。何で歌詞つけてくれなかったんや。仕様がないので自分で何となく訳したりしている。なんかもうすげえ疲れた…みたいな感じなんだけど、声と相まってぎゅんぎゅん訴えかけてくるわ。

スーパーバンドなのでもう聴いている人は聴いていると思うけど、実はまだ…という人がいたら買って聴きなさい。超オススメ。

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