2017年に自主リリースされた。
Public Enemyは1982年に結成されたヒップホップグループ。調べてみると「社会的」と捉えられることが多いようだ。メタル的には1991年のスラッシュメタルバンドAnthraxとの共演「Bring the Noise」ということで有名だろうか。(改めて聞いてみたらとてもかっこいい。)私は名前を知っているくらいで全然聴いたことがなかったのだが、最新作が無料DLで!というニュースを聞いてなんとなくDLしてみた。ヒップホップは結構突然、もしくは予定より早めリリースとか、無料DLとかがトレンドなのだろうか。
聞いてみるとさすがに早い段階にメタルとがっぷり四つで組み合ったことも頷けるパワフルかつ、多彩なサウンドに驚く。非常にに明快でシンプルなトラックに色々な音を上物として乗っけている。おそらくサンプリングを使いつつ専用に録音した生音を使っているのではと思う。イントロの役割を持った表題曲「Nothing is Quick in the Desert」が終わると滑らかなサウンドのギターソロが非常に印象的かつキャッチーな「sPEak!」が始まる。30年以上活動し、10枚以上のアルバムを出せば自然と老獪といってもいいほどの円熟味のあるサウンドでは〜と勝手に思ってしまったがとんでもない。非常にラディカルで外へ外へと広がりつつある温度とテンションの高い楽曲が次々と飛び出してくる。
ミクスチャーとまではいかないがギターを大胆にフィーチャーした楽曲など、枠の外にある”異質さ”を積極的に取りに行く。それはやはり明快かつストレートな攻撃性を曲に取り入れるためだろうか。ジャズを元ネタにあくまでもしっとりとした円熟味のあるヒップホップを聞かせたA Tribe Called Questの最新作に比較するとこちらの方がバリエーションに富んでおり、その分俗っぽくもありその成果高みからの神の声というよりは同じ地上に、つまり路上(ストリート)にある詩人の歌という感じがして、好みの問題だろうが、私的にはこちらの方がグッとくるかもしれない。曲名や歌詞にやたらでてくる「Beat」という言葉もそんな攻撃的な音楽を象徴しているようだ。ぶちかましてやれ、という初期衝動をいつまでも失わない。普通は成功と長い活動期間で磨耗して行くそれを、むしろ活動の長さの中で獲得する技術でもって一歩上のクリティティブに昇華させる様は無敵感すら漂う。その一方でラスト「Rest in Beats」では鬼籍に入ったヒップホップのミュージシャン達にリスペクトを捧げていて、ういう曲はさすがに大御所でないと作れないのではと。積み上げた行動、つまり言葉の重みがずっしりくるようで、最後に貫禄を見せる後ろ姿はさすがの渋さ。
かなりロック寄りのトラックもあって私にはとても聞きやすかった。わかりやすい盛り上がりがあるので高揚感が半端ない。
0 件のコメント:
コメントを投稿