2016年2月11日木曜日

UXO/UXO

アメリカのノイズロックバンドの1stアルバム。
2016年にReptillian Recordsからリリースされた。私はオフィシャルサイトでデジタル版を購入。
デビュー作と行っても新人ではなくて名だたる2人がタッグを組んで結成されたスーパーバンド。その2人はToday is the DayのSteve AustinとUnsaneのChris Spencer。あとの2人もIronbos、Livverというバンドのメンバーとのこと。Today is the Dayに関しては私はアルバムを何枚か持っているが1992年からSteve Austinを中心として活動し続けるノイズロックバンド。かつてはMastodonのドラマーBrann Dailorもかつて在籍した事がある。SteveはまたConvergeの「When Forever Comes Crashing」などもプロデュースしたことのある影響力のある人。Unsaneは1988年から活動するノイズロックバンドで私は目下の最新作「Wreck」(2012)しか聴いた事が無いのだが、乾いた激音の中にも強靭な狂気を感じる凄まじい音を鳴らしている。その両者がタッグを組んだという事でこれはもう完全にどうかしている音楽になるに決まっている。

両者の出自がガッチリハマって結果出される音はノイズロックである。ノイズといっても変に高尚的なものではなく、音の輪郭がビリビリと震えている事が音源からも感じ取れるほど凄まじくデカい音で鳴らされるロックである。ほぼほぼバンドアンサンブルのみによって構成される音はひたすらノイジーで、自称するように確かにメタルというよりはハードコア的な音色である。1枚しか持っていないのであれなのだが、個人的にはToday is the DayよりはUnsaneっぽいなと思う。まずは音の異常な図太さだけで昇天できる事請け合い。豊かな中音域は暖かみがあって生命力に満ちている。全体的に砂漠のように乾いているのも印象的だ。Today is the Dayは様々な音をならして来たバンドだが、日本ではカオティックハードコアの文脈で語られる事もあって、ハードコアの荒々しさにSteveの完全にどうかしている神経症質なこだわりが反映されている、いわばねっとりと濃いバンドなのだが、その底意地の悪い漆黒の闇というのはUXOでは控えめである。たしかUnsaneのレユーでも書いた覚えがあるのだが、UXOにも共通して一見して開かれている様なのにその目は完全に坐っているのだ。アルコールに酩酊しているのか、人生に絶望しているのか判別不能だが、完全にどうかしている、そんな感じがノイジーな音の向こう側に透けて見える。それは一泊おいた後に気づく怪談の様な趣がある”怖さ”であると思う。黒魔術の怖さというよりは隣人の異常な一面をふと見てしまった様な、そんなリアルな質感を持った黒さである。
彼らがノイズ”ロック”なのにはハードコアでもメタルでもない歌心があるからだと思う。Today is the DayにもUnsaneにもそれらは確固たる形で存在したが、それらがいっそう荒々しく素直に表現されているのがUXOだという気がする。一言でいうとUXOの出す音には感染性みたいなのがあって、どうかしているはずなのに心を揺さぶってくる、高揚させてくる。UXOの音楽は気持ちよいのである。その乾いたストレートさが矢のようにまっすぐこちらを貫いてくる訳だ。

という訳でこれ滅茶カッコいい。デジタルで買ったがフィジカルで欲しいと思っています。ジャケットもすごくカッコいいし。Today is the Dayの去年の「Animal Mother」もすごかったけど、発売して間もないこちらの方が再生回数が多い様な気がする。全7曲というのもその理由かもしれない。だがなにより曲が素晴らしい。この気持ちよさはなんだろう。(レビュー書いといてわかんねねえなという感じで恐縮だが。)
めちゃくちゃオススメなので好き者の皆さんは是非是非!!!

0 件のコメント:

コメントを投稿