2014年にイギリスAurora Borealisからリリースされた。
CDは装丁が美しいらしいがわたしが買ったのはデジタル版。
オフィシャルもwikiもないのでバンドの事はほとんど分からない。写真を見るに女性一人含む5人組のようだ。音楽性も中々一筋縄では行かない。彼らのFacebookページには「Genre: Heavy, psych, doom, epic drone pop」と書いてある。
始めにいっておくと大変素晴らしい音楽をやっていて、わたしは音源を買って良かったなと思っている。
それではつたない言葉だが、だいたいどんな印象を持っているか書いていこうと思う。
まず今回のアルバムは全5曲収録されている。1曲だけ7分台の曲があって、あとはすべて10分を超えている尺の長い曲で構成されている。
所謂ロックバンドの編成の用で音も基本はバンドアンサンブルからなっている。
曲スピードは決して速くない。むしろ中速から低速がメインである。
低音はかなり厚めでギターの作り出す低音主体のリフは巨大な壁の様な迫力がある。
音の取り方が贅沢で低音がずずずずーーーっと尾を引き伸びる要素は間違いなくドローン然としている。
ここまで書くととんでもなく重苦しいドゥームメタルバンドというぼんやりとした輪郭が浮かび上がってきる。実際彼らはそうであると思うが、それだけにとどまらない不思議な音楽性を持っている。前述のジャンルを見ていただけると分かるが、エピックかつポップですよと書いてある。正しくそうなのだ。デス声は全く入っていないし、撤回の様な無骨な演奏の中にも劇的な展開がある。ギターは物悲しくも流麗なメロディを奏で、男女混声のコーラスも入る。エピックでポップなドゥームメタルとは一線を画すその音楽性は、知的さも感じられてどこかしらポストロック的な側面があると思う。
重くてじゅらじゅらしたギターの音は同郷のNadjaを思わせるし、重たさの中にも残虐性ではなくて空疎なメロディが光る部分はCult of Lunaにも通じる。全体的に漂うジャンルにとらわれない一風変わった雰囲気はちょっとだけKayo Dotに似ているかも。(こっちはジャズ成分はほとんど感じられないけど。)
面白いのは五月蝿いパートとちょっとサイケでドリーミーなエピックパートを分かりやすく分けていないところで、展開はゆっくりと変わっていく様なイメージなのだが、その中で不思議にヘヴィさとポップさが同居しているところ。だから変な話分かりにくい部分を飛ばしてポップなところだけ聴くみたいな聴き方はできないんじゃなかろうか。
ストリングスや女性の高音でクワイアのように歌うところが自然とヘヴィなバンドアンサンブルと調和していて面白い。
個人的にはやはり分厚いギターがお気に入り、たまに入る狂った様なワウを聴かせたしゅわしゅわした目まぐるしいリフもすごくカッコいい。
たとえば純粋なメタルのようにすごく怒っているとかすごく悲しんでいるとか、分かりやすく南下の感情に傾いている音楽性ではないから中々形容しにくいが、それ故の複雑さと曖昧さがあって兎に角そこが魅力なのだろうと思う。
オフィシャルの写真を見るとアンプが壁のようになっていてもの凄い。きっとウルトラヘヴィなライブをやるのだろうな〜。
因に妙なアルバムタイトルは「病気の衝突と不治の飛行機達」。ようするに「飛行機の墜落と不治の病」という文字列の形容詞をくるっとひっくり返したものだと思うのだが、ここら辺にもバンド側の少し変わったユーモアセンスというか諧謔精神が見て取れて面白い。
なんとも変わったバンドが出て来たものだが、曲のセンスはハイクオリティ。わたしが知らないだけかもだが、ちょっとこういうバンドは中々いないんじゃないでしょうか。非常に気に入りました。オススメです。変わっているけどそれだけじゃなくてちゃんとカッコいい音楽好きな人は是非どうぞ。
兎に角1曲目の「Archangel」がとても美しくこれが切っ掛けで購入した。
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