2013年にSargent Houseからリリースされました。日本版はライブ収録のボーナストラックを1曲追加し、御馴染みDaymare Recordingsからリリース。
不思議なバンド名ですね。ロシアの円?ロシア人のサークル?ロシア語のサークル?(複数形のsがついているから違うと思うけど)。少なくともメンバーはアメリカ在住だと思うが。
前々から名前は知っていたけど、何となく買う機会を逃していたバンドの一つでしたが、私の好きなChelsea Wolfeさんがゲストボーカル(レーベルが同じですかね、そういえば)として参加しているというので、この機会に始めて買ってみた次第。
メンバーが3人ということも知らないし、いざ聴いてみて勘違いに気づいた。
なんとなくMouth of the Archietectのようなスラッジぽいポストメタルを想像していたのだが、なんとまずインストバンドだった。ボーカルいつ入るのかな?と聴いていたら、あれよあれよと前述のWolfeさんのボーカルが入っている最後の曲まで行って驚いたね、というのはさすがに嘘ですけど。まあ結構ビックリした。
メンバーの写真を見ると確かにメタルっぽくないですな。
じゃあどんな音楽性なのよ?といわれるとこれがなかなか形容するのが難しい。
インストバンドであることは間違いない。音の質感もメタルといってもいいだろう。ギター、ベース、ドラムのシンプルな3人編成だが、どの楽器も重々しい。曲のスピードはその質感もあって遅めだが、スラッジやドゥームほどの様式にかっちりはまっている訳ではない。これが俺たちです!といわんばかりのどっしりとした様は本当に3人なのか?というくらい堂に入っている。それぞれが替えの効かない体制だからテクニックは一級だが、それをひけらかすようなところはいっさいなし。どちらかというとジャケットのように渋く、寡黙。その一見の取っ付きにくさはまさに峻厳とした山のごとし。
音はクリアかつソリッドで、静のパートと動のパートが両立した陰鬱といってもいい曲調だが、なんというかひねった邪悪さがない。曲の長さもそんなに長くないので疲れないで聴けるのも良いね。
思うに比較的手数の多いドラムがすばらしい、そこにベースが滑るように入ってきて、ギターが旋律を奏でるのだが、暗い曲調の中にきらりと光るメロディセンスがたまらない。
はっきりいってメロディアスはあんまりないんだけど、皆無という訳ではない。そのバランスが心地よい。
前述の説明と矛盾するようだが、ちょっとアートっぽいなと思いました。
アートといっても小難しい理屈をこね回した底の浅さが見て取れるお洒落なやつじゃない。なんだかよくわからなさ、で煙に巻こうとする小賢しさでもない。
例えれば一枚の絵を描くようなもので、それがとても示唆に富んでいる。目に見えない音楽なので頭に描く絵は人それぞれ違うだろうが、私としてはなかなか楽しく聴けた・描けたというのが正直なところ。
インストバンドというのは面白くて、はっきりボーカルと歌詞があるバンドと比較すると演奏する側が何を伝えたいのかというのがやっぱりちょっとわからなくなる。
音楽は音楽なのだが、ちょっと曖昧な形で伝わるから、こっちにあれこれ想像する楽しみがあって気分によってはボーカルありの音楽よりハマったりする。
というわけで非常に格好いいインストバンドであった。
俺の気持ちはお前らごときにわかってたまるか、という貴方におすすめ。
ちなみにWolfeさんボーカルの曲はすげー格好いい。ばっちりだ!