2017年5月22日月曜日

Rolling Stoned#8 VVORLD『Highway Shits』Release Party@新代田Fever

日本は東京吉祥寺のハードコアバンドVVORLDが2017年に2ndアルバム「Highway Shits」をリリース。リリースパーティをやるよ、というので行って来た。というのもVVORLD自体がかっこいいのに加えて出演陣がとても豪華なもので。全部で15のバンドが出演。ほとんどがハードコアという大きなジャンルで括られるバンドばかりだけど、中には大阪のスラッジBirushanahや同じく大阪のストーナー・ロックバンドSleepcityなどハードコア以外のバンドも名を連ねていてとても面白いメンツなのだ。
なるべく全部のバンドを見たい派なので私は開演前に行くことにした。会場はFeverでこの日は14時会場だったのだけど、ちょうど一番雨がひどかった時間帯かも。傘をさすけどなぜかいつもびしょ濡れになる男である私はこの日もびしょ濡れで会場に到着。フロアに入るとフロアの左にセットが設けられている。つまりこの日はステージとフロアの2ステージ制で交互にバンドが演奏する。こうすると転換の時間を節約してたくさんのバンドを消化できるというわけ。Feverは広くて綺麗なので物販もバンドぶん対応できていてよかった。
以下感想なんですけどバンドの出演順番間違っている気がしています…。記憶力がなさすぎて違ったら申し訳ないです。

①Self Deconstruction@ステージ
見るのは2回目かな?美少女ボーカル、美人ゴスロリギタリスト、細マッチョドラムとキャッチーかつ情報量が多い見た目と裏腹にステージングと音楽はハード。曲がかなり独特で耳と頭がおかしいので間違っているかもしれないが、あまり反復の要素がない。普通のバンドは激烈でも反復性があるから円を描いて走るんだけどこのバンドの場合は直線で走り抜ける。だから常に今がすごいスピードで過ぎ去って行く。通過している新幹線を呆然と眺めているみたい。グラインドコア/パワーバイオレンスと名乗っているだけあって、たまにくる低速パートがかっこよかった。

②Super Structure@フロア
こちらも2回目。元ネタのFall Silentも聞いたんだけどあまり共通項が見出せない。パワーバイオレンスバンドなのだが、ステージングが凶悪。ただ激しいというか怖い。「パワー”バイオレンス”なんだよ、ふざけんな」という覚悟が滲み出る凶暴性。目出し帽かぶったボーカルもさることながら他のメンバーの動きも切れている。ギター振り回して当たったら危ない、とハラハラするんだけどびっくりするくらいかっこいい。ただただ低速パートのみにフォーカスするようなバンドではなくきっちり速いパートもかっこいいという清く正しい(つまり濁っていて悪い)パワーバイオレンスバンド。

③Enslave@ステージ
見るのは初めて。男女混成ツインボーカルのハードコア/クラストコアバンド。ギタリストも二人なのでメンバーが多い。激しいハードコアを基調に叙情性を取り入れていて、またメッセージ性も強い。日本のハードコアバンドの系譜を感じさせる。男性ボーカルも強いのだが、どちらかというと女性ボーカルの方が鋭く、逆に男性ボーカルは激しい中にも丸みがあってそれが良い対比になっているなと思う。演奏は非常にかっちりしてまっすぐ。見え隠れするメロディラインが高揚感あってかっこよかった。

④Sleepcity@フロア
大阪のストーナーバンド。見るのも聞くのも初めてでドラマーはBirsuhanahでもドラムを担当している。立ち居振る舞いからハードコアとは一線を画す感じでワクワクする。音を出して見ると果たしてかっこいいオルタナティブ・ロックだった。もっと煙たくて怪しげなものかと思っていたのだけど、かなりかっちりしたロック。ファズなのかはわからないけどグシャとした中にもざらついた温かみのある中域が分厚いギターに歌が乗る。歌も歌うと叫ぶの中間で全体的にはかなりエネルギッシュで激しいのだが、どこか気だるい(音楽がとい意味ではないですよ)雰囲気があって、あの頃のオルタナティブを感じさせる。初めて聞いたのになんか胸を締め付けるようなノスタルジーを感じてしまう。モダンなアップデートでオリジナリティのある、単なるリバイバルにならないオルタナティブをプレイするという意味ではSunday Bloody Sundayに通じるものがあると思う。音源が欲しかったけどなかったみたい。

⑤Band of Accuse@ステージ
見るのも聞くのも初めて。福島の4人組のバンドでメッセージ性の強い音楽をやっているとのこと。音楽的にはハードコア/クラストコアという感じ。スラッシーナリフで組み立てられたシンプルながらも力強いコーラスがよく映える男らしい音楽をプレイ。飾らないシンプルなハードコアなんだけど演奏は非常にカッチしていてよかった。やはりソロも入れてくるギターがハードな曲にキャッチーさを付与していると思う。個人的にはドラマーの人がすごくてちょっと独自の癖があるのかわからないけど妙に耳に残る。ヅタヅタ刻むD-ビートも力強くかっこよかった。

⑥System Fucker@フロア
続いてはSystem Fuckerなんだけど個人的にはこのバンドが結構楽しみで。というのもいでたちがすごい。正しいクラストコア(パンク)という感じでボーカルの人は細くそして高いモヒカン頭である。他の人もなんともクラストないでたち。パンクというと一般的なイメージはこうなのかな?この日は異彩を放っていた。メタリックに武装したあくまでもクラストコアという音楽性で、D-ビートに生き急ぐような前のめりの演奏が乗っかる。思っていた通り華のあるボーカリストで、Dis系の男臭いがなり声とはちょっと違うんだけど、無愛想ながなりがかっこいい。この人がフロアを動き回る。上背があり、蹴り上げる踵の高さ!イメージとしてはサメみたい。突進したり、突き飛ばしたりと暴力的なんだけど陽性のエネルギーがあって、(怖いのは怖いけど)なんだか楽しい。フロアにいる人もきっとそう思っていたはず。とても盛り上がっていた。

⑦Fight it Out@ステージ
このバンドも見るのは2回目。今年リリースされた新作がとても良かったのでライブをまた見たかった。ストップ&ゴーを繰り返すショートな楽曲を繰り出すパワーバイオレンスバンドだが、HIp-Hopアーティストをアルバムのゲストに迎えたりと生々しいストリート感を演出した独特の楽曲をプレイする。この日おそらく一番フロアが湧いたバンドだったのではなかろうか。ボーカルの方がフロアに降りてきてからは特に危ないダンスフロアになっていた。ライブで聴く楽曲は改めて肉体的で速度を落とすタイミングが絶妙でみんなが暴れるわけだと思う。鬱屈しているというよりは、断然鬱憤を晴らすかのような爽快感がある。

⑧LAST@フロア
続いては岡山県から車で8時間かけてやってきたLAST。1時間ないステージのために16時間とさらに色々な準備の時間使うのだから本当にすごい。本当ならこっちから行かないと見れないんだもの。ありがたい。専任ボーカルにギター二人の5人組のバンド。日本の伝統を感じさせるメタリックなハードコアをやっている。コーラスワークを大胆に取り入れているという意味ではBand of Accuseに通じるところもあるのだけど、こちらのバンドはもっと曲を凝ったものにしている。装飾性はないのだけど、速度の変更や展開などがあって面白い。最終的にあくまでも肉体的なハードコアであり続けているところにかっこよさがある。ボーカルの人は暑くて前のめりなMCもそうだし、フロアを所狭しと動き回る。ジャンプ力がすごかった。ハードコアの持っている激しくもポジティブな部分が前面に出ていて強いなと思った。(ポジティブでいる方が難しいと思っているので。)

⑨Birushanah@ステージ
続いては大阪の和製トライバル・サイケデリック・スラッジ。Birushanahは大好きなのでこのイベントに名を連ねているのにびっくりしつつも嬉しい。音的には明らかにこの日一番異質でメタルの、それも相当独特なメタルを鳴らしている。この日も特に迎合することなく最新作を中心に毘盧遮那世界を展開していた。メタルパーカッションはさらに楽器が増えて要塞のようになっていた。このバンドは打楽器が二人にギター一人という一見するとアンバランスさなのだけど、ギターが鉄塊のような低音を担当する反面、様々な工業的な廃材で組み上げられたメタルパーカッションがキンキン響く高音でメロディというかその名残のようなフレーズを担当。おまけに最近はボーカルの歌の度合いが強いので見た目よりとっても聴きやすい。やはり最後にプレイした「鏡」にBirushanahの魅力が詰まっていると思う。現実に立脚するのがハードコアならメタルは異世界に連れて行く。この日も短い中でもトリップ感満載だった。
そしてすごいどうでもいいけどボーカル/ギターのIsoさんはとてもお痩せになったのではと思います。

⑩ELMO@フロア
続いて東京のハードコアバンドELMO。もうずっと前になぜか1枚だけCD「Still Remains...」を買って持っている。この日多分一番尖っていたのがこのバンド。低音に特化した極悪なハードコアを鳴らしている。テンポチェンジも多用しているが、基本的には速度は遅め。ボーカルの方はシュッとした人で高い声で絞り出すように叫ぶのが基本だが、たまに這いずり回るような低音も出してくる。この人はひょっとしたらラッパーもやっているのかも。ハードコアでは客に暴れろと煽るバンドは多いのでは。このバンドも煽るのだが、それが変わっていて普通は演者と客の間に共通の連帯感がある場合が多いのだけどこのバンドは観客すら敵くらいのヘイトをぶちまけてくる。非常にヒリついた空気で緊張感が半端ない。ほんのちょこっと見ただけなのでなんとも言えないのだが、そもそもライブってなんでしたっけ?という問題提起にも思えた。

⑪Saigan Terror@ステージ
続いては東京の高円寺のハードコア。見るのは2回目。年季を感じさせるいぶし銀のメタリックなオールドスクール・ハードコアをやっているのだが、とにかく怖い。ボーカルの方の見た目もあるだろうけど音の方も超いかつい。そういった意味では日本のハードコアらしい叙情性というのはそこまでなくて、代わりに攻撃性と速さと重さがある感じ。コーラスワークもシンプルで恐ろしげ。スラッシーなギターはかなり動きの激しいギターソロにも反映されているが、やはり刻みまくるリフがかっこいい。良い感じに音が抜けているのでメタルの重苦しさがほとんどない。どちらかというとロックンロール的だ。このバンドはそのままだと相当怖いのだけど、ギタリストの方のMCでバランスが取れている。よくもあんなに言葉がポンポン飛び出してきて、どれもが面白いものだな〜と思う。

⑫Shut Your Mouth@フロア
続いては昨年1stアルバムをリリースしたShut Your Mouth。こちらも見るのは2回目。こちらも現行型のハードコアを鳴らすバンドで、一気に速度を落とすパートを取り入れた楽曲はハードコア的な踊れるものなのだろうが、それだけではない深みのある独自のセンスがあると思う。叙情的というのは何も装飾的であることでも、わかりやすいメロディがあるわけでもない。このバンドはニュースクールっぽいなと思う。ニュースクールというと激しいハードコアにプラスオンで情報を追加するイメージなんだけど、そこを通過してきているイメージ。2本のギターがリフに加えて奥行きのある要素を曲に持ち込んでいるし、ちょっとFall Silentっぽくもある若さのあるボーカルはとてもエモーショナル。ラストの「Grey World」はかっこよかった!この日一番良かったかも。

⑬SLIGHT SLAPPERS@ステージ
続いてTokyo PowerViolenceスラスラ。今日ボーカリストの方はメガネではなくきらきらひかる眼帯をつけていた。(あとで外してお客さんに優しく(?)かけてあげていた。)前回見たときと同じく妙にポップな前半から後半一気に加速する曲でスタート。このバンドは今風の低速パートをほとんどやらない。音的にもギターは中域を分厚くしたハードコア〜パンクを感じさせるあえて肉抜きした生々しいもの。ショートカットな超特急で突き抜ける。そういった意味ではある種乗りやすいわけではないのだけど、そこをコーラスワークだったり、フリーキーなポップセンスだったりで速いだけでなく曲にフックをつけることで魅力的でステージで映えるもにしている。またボーカリストの人の動きやその他のメンバーのステージング(みんな楽しそう)で明るくて、楽しいものにしている。

⑭Friendship@フロア
フロアのトリはこの夏1stアルバムのリリースがアナウンスされているFriendship。期待値の高さと自分たちの大量の機材を使うことからとりなのだと思う。縦横に2✖️2に積まれたOrangeアンプからとんでもない轟音を鳴らすバンド。(豊富な物販でもSunn O)))のモチーフを拝借したりしている。)超高速と超低速を行き来する楽曲は現行のパワーバイオレンスに括られるバンドだと思う。ひたすら低音に特化した様はELMOに似ているが、あちらはざらついた低音だったのに対してこちらはもっと密度の濃い壁のような低音。また積極的に煽るELMOに対して、こちらはMCなしの楽曲没入型。(要するにもっと無愛想とも言える。)ひたすらブルータルな楽曲を繰り出していく。あえて楽曲に隙間を開けない、また開けても全開でフィードバックノイズを鳴らすやり方で客に拍手や歓声をあげる暇すら与えない無慈悲なストイックさ。ある意味客を置いてけぼりにするようなイメージで、客の方もただ圧倒されて首だけ降っているみたいな状況になっていた。個人的にはやっぱりこのバンドはドラムがすごい。シンプルなセットででかいドラムのパートをでかい音で”一定”のペースで鳴らし続けるのは結構異常事態ではと思う。そういったところも含めて潜行というか窒息感があってすごくかっこいい。

⑮VVORLD@ステージ
イベントのラストはもちろんVVORLD。ライブを見るのは初めて。今年新作された「Highway Shits」のリリースパーティな訳だけどその新作のかっこいいこと。期待度も非常に高かった。改めて生で楽曲を聴くとだいぶ独自の音を鳴らしている。根っこがハードコアだとしても、出ている音はメタルを通過したブルータルなもの。強くデス声めいたボーカルもそうだが、動きの激しいギターもそう。煙たく充満するフィードバックノイズもそうだし、高い音も使ったりしていて相当不穏である。ソリッドというよりはざらついた質感でハードコアのフォーマットでかなり先鋭的で独特な音を鳴らしている。メッセージ性もいわゆるストレートなハードコアのそれとは微妙に異なり毒気のある個性がある。ラストを飾る「Living Hemp」は長丁場のイベントの大団円ということで感動的ですらあった。

全15バンドというとでちょっとしたお祭り状態。ハードコアを基本にしながらも幅広いアーティストを全国津々浦々から一堂に集めるというのは贅沢で非常に楽しかった。こんな機会はそうそうない。まだ知らないかっこいい音楽に出会えたという意味でも非常に良い場所だった。
VVORLDのパーカーとFRIENSHIPのT-シャツを購入。もっと色々欲しかったな〜といつも帰宅してから思う不思議。ライブハウスの外に出てたら豪雨はとっくにやんでいた。雨上がりの濡れた道を気持ちよく帰った。

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